本のエッセンス|刊行にあたって:スリーステップ秋山メソッド BASIC 最低倍率でも大きなメリットがある顕微鏡テクニック

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『スリーステップ秋山メソッド BASIC 最低倍率でも大きなメリットがある顕微鏡テクニック』です。

ゼネラルデンタルカタログ

刊行にあたって

 本書は、筆者が開発し、実践している直視の顕微鏡応用テクニック「スリーステップ秋山メソッド」について書かれている。
 スリーステップ秋山メソッドは、“ 新しい” 概念に基づいたテクニックであり、世界レベルの、非常に高い精度の歯科治療を実現できる。
 従来の“ 古い” 顕微鏡歯科の考え方では、顕微鏡のメリットは高倍率にあるとされている。一方、スリーステップ秋山メソッドでは最低倍率でも大きなメリットがあると考える。この画期的なテクニックは世界初であると自負している。
 本書は「スリーステップ秋山メソッド」を学びたい読者に向けて書かれているのだが、“ 顕微鏡難民” を救いたいというもう一つの目的もある。
 「顕微鏡で治療ができると教えてもらい購入したが、まったく使えずにいまはホコリを被っているという歯科医師」を、筆者はそう呼んでいる。わが国の高い顕微鏡普及率とは裏腹に、購入したものの、その臨床応用に悩む歯科医師が多く存在している。
 そこで、そうした“ 顕微鏡難民” が、真の意味で顕微鏡を使いこなせるように、正しい情報を整理するとともに、これ以上“ 顕微鏡難民” を生み出さないために、顕微鏡を購入する前に知っておくべき情報も、本書には収載している。
 そのため、本書はこれから顕微鏡を購入しようと考えている歯科医師にも、すでに顕微鏡を持っていて悩んでいる歯科医師にも役立てることができる内容になっている。ノウハウは普遍的なものなので、歯科医師のみならず、歯科衛生士の手にも届いてほしい。

 本書の記載方法について、説明を加えておく。
 SNS 全盛時代の読者に向けて、1章・2章の項目では、内容を解説する前に、冒頭で要点(伝えたいこと)を示している。要点はわかりやすいように箇条書きにしている。そして、その後の文章で要点について解説している。筆者としては、読者に理解してもらうことが使命と考えて、そのような記述形式にこだわった。

 本書の半分はエビデンスベースだが、残りの半分は物語的な話“Narrative based Medicine” によって書かれている。紹介しているエピソードはすべて実話である。
 なかには辛辣な言葉も出てくるかもしれないが、他者を批判するために書いたものではなく、わが国の歯科医師が本当の意味でレベルアップするための、正直な主張だと受け取ってもらえれば幸いである。

2023年12月
秋山勝彦

CONTENTS


著者略歴

秋山勝彦(あきやま かつひこ)

1985年 東京歯科大学 卒業
2004年 日本臨床歯周病学会関東支部教育研修会にて講演
2005年 ハーバード大学歯学部ITI 共催によるケースプレゼンテーションアワード受賞
2006年 第3回日本顕微鏡歯科学会 特別講演
第24回日本臨床歯周病学会年次大会で、歯周病治療に対して顕微鏡の直視の応用方法を世界で初めて発表
JIADS 総会(大阪) 発表
第5回アメリカ顕微鏡歯科学会(アリゾナ州ツーソン) 発表
2007年 第6回アメリカ顕微鏡歯科学会(アリゾナ州ツーソン) 講演
ミナミアルプストレーニングインスティテュートフォーマイクロデンティストリーを開設
2008年 第5回日本顕微鏡歯科学会 教育講演
第7回アメリカ顕微鏡歯科学会(スコッツデール) 講演
2010年 第9回アメリカ顕微鏡歯科学会(サンタバーバラ) 講演
2011年 第8回日本顕微鏡歯科学会 講演
2012年 CARL ZEISS 本社ドイツ・オーバーコッヘンにて講演
KLS Martin 本社ドイツ・トットリンゲン社にて講演
ネパール、カトマンズ・Kantipur Dental College のCEO の要請で個人的な国際ボランティアとして、ネパールのペリオドンティストおよび開業医・大学職員・歯科衛生士・
歯科学生に対して、3日間にわたり歯周治療について講演
2013年 第14回ブラジル歯科医師会(Canela-RS, Brazil)  講演
第12回アメリカ顕微鏡歯科学会(フロリダ州オーランド) 講演
2014年 MATI 出版より『The Micro Endoscopic Technique』販売開始
アメリカ、ニューヨークのコロンビア大学Perio Residents にて「手術用顕微鏡を応用した歯周治療について」講義

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(所属学会)
Academy of Surgical Microscopic Clinical Dentistry Member
American Academy of Periodontology International Member(AAP)
The Japanese Society of Periodontology Member
The Japanese Academy of Clinical Periodontology Member
The Japanese orthdontic of Society Member