本のエッセンス|はじめに:“ほぼ”パーフェクト エアアブレージョン 導入&使いこなし

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、“ほぼ”パーフェクト エアアブレージョン 導入&使いこなしです。

ゼネラルデンタルカタログ

はじめに

 厚生労働省の2022(令和4)年の歯科疾患実態調査によると、わが国の20代以上の9割強がう蝕に罹患しており、また20代では7割以上、30代では8割前後の人が歯周病、もしくは歯周病の予備軍であることがわかります。
 コロナ禍において一時期、口腔内環境の重要性が取り上げられましたが、個人的には歯科受診率に大きな変化がみられないと実感しています。その理由として挙げられるのは、歯科医院とは“できるなら行きたくない”や“痛くなったら(何か問題が出たら)仕方なく行く”という認識が根強い場所のようです。
そのため、“痛くなったら歯科へ行く=痛い治療になる”という方程式が成り立ち、歯科治療に対する恐怖心が備わってしまったのだと考えられます。
 そもそも、筆者はう蝕や歯周病は本来、セルフケアがしっかりとできていれば、罹患せずに済む疾患であると考えています。そこに定期的なプロフェッショナルケアが加われば、さらに罹患率を低下させられるのではないでしょうか。
 もちろん口腔内に問題がなく、定期健診として受診される方もいますが、その際のプロフェッショナルケアでも“痛みを伴った”という声をよく耳にします。それが原因で健診への足が遠のいたこともある、とセカンドオピニオンで受診された患者さんからうかがったことが多々あります。
 人生100年時代ともいわれる昨今、健康維持や健康増進には口腔内環境の改善が必須と考えられております。そのためには、われわれ歯科衛生士の力なくしては成り立たないといっても過言ではないでしょう。従来の施術方法でもよいでしょうが、今後主流になると思われるエアアブレージョン(パウダーケア)を使用した新しい施術方法で、多くの患者さんに“歯科は気軽に行けて快適な場所である”と思ってもらえるような方法を拡げられればと切に願っています。
 すでに取り組んでいる歯科衛生士のみなさん、メインテナンスだけに使用するのはもったいないです。保険診療でも使用可能なため、歯面清掃だけではなく、う蝕予防に期待できる方法もあります。これから導入をお考えの歯科医院のみなさん、各社製品さまざまな特徴を兼ね備えております。本書をご参考いただき、ご自身の診療スタイルに合わせた選択の指標にしていただければ幸いです。

夏井 円

CONTENTS

編著者略歴

夏井 円(なつい まどか)
2004 年  鶴見大学 鶴見女子短期大学部 歯科衛生士科 卒業
2008 年〜 医療法人POO-TH 聖母歯科医院 勤務
2011 年  第2種滅菌技士 取得
2018 年〜 IADFE Asia Fellow
2019 年  削らない歯学会
      現在に至る