本のエッセンス|はじめに:“失敗ゼロ”のCR修復

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『“失敗ゼロ”のCR修復』です。

はじめに

 ここ数年、歯科医療関係の書籍やセミナーの案内、そしてSNSなどで「ダイレクトボンディング」という言葉をよく目にするようになってきました。このことは、いわゆる直接コンポジットレジン(以降、本書ではコンポジットレジンをCRと表記)修復について急速に関心が寄せられていることの証だと思います。CRやボンディング材、関連器材なども年々進歩し、術式も確立されてきたことで、さまざまなエビデンスも揃いつつあります。そして何よりも、世界中で多くの方々から求められる治療法となってきました。
 また、30年を少し超える臨床経験を経て、私自身が常々感じているのは、修復治療を受けた歯でも健全歯質(とくにエナメル質)が多く残されているほど、長期にわたって安定し、抜歯へと至る確率があきらかに低いということです。もしも歯科医療従事者たちが、自らが患者としてう蝕治療を受けなければならない場合、低侵襲で審美性と機能性を兼ね備え、予知性も向上している直接CR修復を、当然のように第一選択として希望されていることでしょう。
 そのような折、あるセミナーの懇親会で、修 復 治 療で可及的にエナメル質を残すことがいかに価値あることなのかを力説したことがきっかけで、その場にいた宮地秀彦先生と「エナメル質 残そう委 員 会(SAVE THE ENAMEL! ! )」を結成し、歯科界にムーブメントを巻き起こそうと意気投合しました。そして、かたや大阪の下町で一般臨床を行う普通のGPである私と、かたや大学の保存修復科での経験あるスペシャリストとの(オマケに年齢も10歳以上差がある)コンビによって、月刊デンタルダイヤモンドで連載し、このたび書籍化となりました。
 直接CR修復をしっかり勉強したい方はもちろん、年齢やキャリアなどに関係なく、本書をご覧になって「SAVE THE ENAMEL! ! 」という臨床スタイルに興味をもっていただければ幸いです。

                                       脇 宗弘

CONTENTS

編著者略歴

脇 宗弘(わき むねひろ)
1990年 大阪歯科大学卒業
    医療法人愛歯会 心斎橋御堂筋診療所(大阪府)勤務
1992年 脇歯科医院(大阪府)開設
現在に至る

おもな所属学会
日本臨床歯科学会(SJCD)

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宮地 秀彦(みやじ ひでひこ)

2001年 大阪歯科大学 卒業
2001年 大阪歯科大学付属病院研修医
2006年 大阪歯科大学大学院歯学研究科修了
2008年 坂根歯科診療所(京都府)勤務
2012年 大阪歯科大学歯科保存学講座助教
2016年 宮地歯科医院(京都府)勤務
大阪歯科大学歯科保存学講座非常勤講師
現在に至る

おもな所属学会
日本歯科保存学会
日本接着歯学会
日本歯科審美学会
日本臨床歯科学会(SJCD)