Q&A 経営 スタッフの退職を防ぐための定期面談の重要性|デンタルダイヤモンド 2023年7月号

学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2023年7月号より「スタッフの退職を防ぐための定期面談の重要性」についてです。

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頑張っていると思っていたスタッフから、ある日、突然退職を告げられることが大きなストレスになっています。事前にスタッフの気持ちの変化などに気づくことは可能でしょうか。また、私から直接、スタッフにいまの気持ちを尋ねてもよいものなのでしょうか。
●滋賀県・О歯科クリニック

1.定期的な面談の重要性
スタッフのおもな退職理由は、待遇に不満があるか、人間関係上の悩みやトラブル、あるいは思っていた仕事と違っていたなどが多くを占めるでしょう。日ごろ、医院で働く姿や院長に対する態度などを注視していると、少し暗い表情やよそよそしい雰囲気などが表れることがあります。また、休みがちになるなど、医院との距離を置くような態度があると要注意です。
 そのことから、1年あるいは半年に1度など、定期的な面談の実施は、スタッフの心境、状況などを知る有効な方法です。院長自らが面と向かって聞くと、スタッフも緊張して思いを吐き出せないことがありますから、副院長やあるいは第三者的な立場で話を聞くことができる人を通じて確認するとよいでしょう。
2.面談の進め方
 確認の仕方としては、「入職してから○ヵ月経過したけど、仕事のほうはどんな感じ?」といった軽い感じで入り、出てくる言葉に対して、「それはどうして?」といった質問を投げかけながら気持ちを引き出すとよいでしょう。さらには、スタッフの言葉を言い換えながら気持ちを確認しつつ進めることも必要です。
 一方、採用面接時に情報をしっかり伝えることで、入職後の食い違いを少なくすることに繫がります。短時間の面接では医院の方針すべてを伝えることは難しいですが、できるだけ時間を確保して、労務に関する医院の考え方を話しておくと、応募者の理解が進むことになります。
 給与体系や賞与の支給時期等の説明は当然ながら、昇給の時期や金額、始業・終業時刻、休憩時間、休憩の取り方、有給休暇や夏季休暇、冬期休暇などの連続休暇の内容など、スタッフが働くうえで基本となる内容については、齟齬のないように説明しておくことが大切です。
 その他、医院のスタッフ数やスタッフ同士のコミュニケーションや人間関係、あるいは来院する患者さんの属性などによって、医院がどのような考え方で患者さんに接しているかなども説明しておくとよいでしょう。
 つまり、入職してから「こんなはずではなかった」ということを極力少なくするために、医院のよい面だけでなく、注意してほしい点や医院独自の風潮などをあらかじめ説明しておくと、応募者は安心して考えることができます。
 医院のことを多く話すと、時には先に辞退してくる応募者が出ることがありますが、考え方が大きく異なるスタッフを採用すると、すぐに退職を申し出てくる可能性が高くなります。そのために新たな採用コストが必要になってくるなど、医院にとってマイナスの面が生じますので、事前に対応しておくことが大切と考えます。
 いずれにしても、現状に不満な気持ちがある場合に、院長としてもすぐに対処できるものばかりとは限りませんから、職場環境の改善に向けて検討の余地を残すためにも、院長が信頼できる人物に面談を進めてもらうように考えてください。

 それでも、退職の意向が強く、どうしても続けることができないと判断した場合には、院内の引き継ぎをスムーズに進めることを目的として、退職の時期を調整することやあるいは複数のスタッフが離れる場合は、退職の時期をずらすことに協力してもらえるよう話し合ってください。急な意思表示のストレスを軽減するうえで、コミュニケーションの一環としてスタッフとの会話を増やすなど、日ごろからのかかわりを大切にしてください。

門田 亮
●デンタル・マネジメント・コンサルティング

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