Q&A 歯科医院における書類選考・採用面接のポイント|デンタルダイヤモンド 2022年7月号

学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2022年7月号より歯科医院における「書類選考・採用面接のポイント」についてです。

新たにスタッフを採用するために、求人募集の媒体を活用して応募者の面接を行っています。必要な人材を確保するために、どのような点に注意して採用活動を進めていけばよいでしょうか。
◦島根県:U歯科クリニック

 歯科医院において、どういう人材が必要かを考えると、業務遂行の正確さや速さ、あるいは細部にわたるきめ細かさが必要であることはいうまでもありませんが、第一に「温かさ」をもっている人が相応しいと考えます。医療現場に携わるものとして患者さんの不安を理解し、患者さんのためにできることを精いっぱい行おうとする人材を採用したいものです。
 そのために、医療業務を日々学ぼうとする姿勢や、新しいことを素直に受け入れて周囲と協力しようとする考えをもった人材かという採用基準で採用に臨みたいものです。加えて、採用活動の際には履歴書の内容や面接での印象がおもな判断材料となると思いますが、そこで最大限に応募者の人柄を引き出すことを第一として、採用活動に取り組む姿勢が必要です。

1.書類選考のポイント

 履歴書で自らのことを正確に伝えようとしているかを見てください。記述している内容に辻褄が合わないところはないか、誤字・脱字なく丁寧に記述されているかのチェックも大切です。
 応募者のなかにはとにかく自分をアピールしようとして、過去の職場すべてにわたって極めて詳細に経歴を記述していることがあります。それはそれで意欲を感じられるのでよいのですが、端的でも面接者に対して伝えたいポイントがはっきり記述されているほうが、実際に面接をする際に受け答えがスムーズに進むことが多いものです。

2.採用面接のポイント

 限られた時間のなかで応募者の考え方や人柄を引き出せるかが問われます。応募者の意欲や能力を図ろうとするあまり、時折、面接者から「〜はできますか?」、「〜をしてもらいたいと思いますが大丈夫ですか?」と医院としての要望が先に立つ質問をすることがあります。この場合、応募者としては「はい」か「いいえ」でしか答えられなくなるため、応募者自身の考えを十分に引き出すに至りません。
 そこで面接時には、なぜそうしたかを尋ねるかたちを中心に組み立てるようにしてください。履歴書のなかから、「なぜその学校を選んだのか」、「なぜ前職はその職種だったのか」、「なぜ歯科医院に勤めようと思ったのか」、「なぜ数ある歯科医院のなかで当院を選んだのか」など、現在までにどういう意識のもとで過ごしてきたのかを答えるかたちで会話を繫げましょう。
 また、学校での部活動の経験や、前職における独自の取り組みについてなど、履歴書に記述がない場面について質問をすることも効果的です。その時々で自分が取り組んできた姿勢や意識を知ろうとすることで、応募者の人柄、性格、あるいはその人の思いが表れます。応募者の経緯を尋ねることなどから、一つ一つ素直な受け答えをしているか、あるいはどのようなことを学び、何を得ようとしてきたかを引き出せるとよいでしょう。

 最終的には、明るく誠実で日々学ぼうとする前向きな姿勢をもっている人柄かを重視したいところです。細かな部分に気を配れることも大切ですが、あまりにも細かすぎる性格の場合、働くうえで何か気になることがあると、ずっとそこにとらわれてしまう可能性があります。
 他のスタッフと協力して業務を遂行する際の全体的なバランス感覚があるかどうかも大切にしてください。

門田 亮
●デンタル・マネジメント・コンサルティン

▽月刊デンタルダイヤモンドのバックナンバーはこちら▽

https://www.dental-diamond.co.jp/list/103