本のエッセンス|はじめに:最高のOHI

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『最高のOHI』です。

はじめに

 歯科衛生士が行う歯周治療と聞くと、SRPや口腔衛生指導(OHI)などが思い浮かぶのではないでしょうか。私たち歯科衛生士が施術するSRPにより、歯周組織が改善に導かれます。その一方で、適切な施術でなければ、期待される改善が望めないばかりか、歯周組織を破壊してしまうおそれもあります。そのため、歯科衛生士は研鑽や経験を積む必要があります。
 では、OHIはどうでしょうか? OHIは、患者さんの心を動かして行動変容へと繫げていかなければなりません。「なかなか患者さんのプラークコントロールがよくならない」、「患者さんのモチベーションが上がらない」などの声をよく耳にします。OHIでは、歯科衛生士から患者さんに行動変容を働きかけ、時には「お願い」や「協力」を求めなければなりません。しかし、これがなかなかうまくいかないのが現実で、上手に促すにはそれなりの伝え方が必要になります。
 OHIは歯周治療のみならず、さまざまな場面で実施する機会があります。そして、OHIは「指導」でありながら「治療」でもあると、私は考えています。患者さんにも、「ブラッシングは患者さんが行う治療である」ことを、何度も伝えるようにしています。そのうえで、患者さんに再度プラークコントロールの協力を促すようにしています。
 本書は、歯科衛生士向け月刊誌DHstyleで1年間連載した内容をベースに改稿・加筆し、新たな項目やオススメOHIアイテムの紹介などを追加しました。今後よりOHIに力を入れたい方や、患者さんとの間に距離を感じてOHIがうまくいかない方、OHIを苦手としている方など、多くの歯科衛生士のお役に立てれば幸いです。
 最後に、本書を執筆するにあたり水上歯科クリニック理事長 水上哲也先生、F-style K・I DENTAL OFFICE 近藤綾介先生に、心から感謝申し上げます。

下田裕子

 

CONTENTS

【著者プロフィール】

下田裕子(しもだ ゆうこ)

福岡県・水上歯科クリニック 副院長/歯科衛生士
【略歴】
1996 年 福岡医科歯科技術専門学校(現 博多メディカル)
     歯科衛生士科卒業
1996 年 水上歯科クリニック 勤務
2021 年 水上歯科クリニック 副院長
・日本歯周病学会認定歯科衛生士
・日本臨床歯周病学会指導歯科衛生士