Q&A 経営 業務効率化を図る方法|デンタルダイヤモンド 2023年10月号

学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2023年10月号より「業務効率化を図る方法」についてです。

開業して3年が経過しますが、来院患者数は順調に推移しており、それに合わせてスタッフも少しずつ増えております。しかし、そのぶん日々の業務が煩雑になってきており、スタッフの生産性が低く業務を効率化する必要があることがわかりました。経営効率を上げるために、どのように進めていけばよいでしょうか。         兵庫県・I歯科医院

1.一人のスタッフに業務が多くなることの危険性

 来院する患者さんが増えてくると、それに伴ってスタッフも増員することになりますが、患者さんとスタッフが接する機会が多くなるほど、さまざまな要望や注意すべきことなど、患者さんに固有の案件が生じることがあります。その結果、それらに対応するため業務が煩雑になり、管理が非常に難しくなります。
 対応する業務は日々忙しさを増すのですが、それをまとめたり整理したりする時間がないため、その場しのぎの対応になりがちになります。
 次第に、医院のことをよく理解しているスタッフのところに情報が集まり、気がつけばそのスタッフがいないと、何もかもが、わからなくなってしまうという状態になってしまいます。
 一見、多くのことに対応できるスタッフがあれもこれもと担いながら物事を進めるため、業務も支障なく進んでいるようにみえます。しかし、一人のスタッフが担う業務が多くなりすぎてしまい、かえって効率が悪くなることも少なくありません。また、もしもそのスタッフが医院を辞めてしまう事態になれば、他のスタッフへ大きな影響が出ることになります。

2.業務効率化を検討する際にまず行うべきこと

 業務効率化を検討する際にまず行うべきことは、各スタッフおよび各職種(歯科助手、受付、歯科衛生士)が行っている業務を詳細に書き出すことから始めましょう。具体的には、いつ、どのような仕事を行っているかを調べますが、そのなかで、どのようなことが問題となっているのか、効率を悪くしている要因はどのような業務が影響しているかについても把握できるように進めます。レポート形式であれ、大判用紙に書き加えていくかたちであれ、スタッフ全員が同じように理解できることを目指します。
 同じ意識のもとで進めていくと、改善すべき点や修正すべき点が顕在化し、業務の問題点としてスタッフ全員が共有できるようになります。たとえば、納品書と請求書をチェックする場合、スタッフがそれぞれチェックすると効率が悪くなりますが、それを業者ごとに担当制にしたり、納品書と請求書で担当者を分けるなど、明確に業務分担をするほうが早く済むと理解できるようになります。
 窓口レジの現金チェックについても、レジを担当するスタッフと現金をチェックするスタッフに分けることで、二重チェックが行えますし、間違いがあった場合も客観的に対応できるため、ミスを早く見つけることも期待できるでしょう。
 このように、業務の改善点についてスタッフ同士で考えられるように働きかけてください。

3.業務を効率化することによって把握できる医院の経営状態

 さらに、パソコンなどを使い情報をデータ化できるのであれば、材料・薬品の在庫管理や診療収入の内訳管理など、経営状態の把握に役立つ分析なども可能です。
 業務を共通化して誰もが同じ情報に基づいて業務を行えるようになると、誰か一人に負担が重くのしかかる状態を回避できるようになります。

 業務効率化を目指す場合には、重複する業務を集約してスリム化しスタッフの負担の軽減を検討する一方で、当初の目的を達成していまは不要と考えられる業務を思い切ってやめてしまうことも大切です。
 いずれにしても、通常業務の傍らでそれぞれが業務効率化を目指すだけでは、なかなかうまく物事が進みません。したがって、ミーティングなど一堂に会することができる時間を作り、全スタッフで一気に対応することが近道といえるでしょう。

門田 亮
●デンタル・マネジメント・コンサルティング

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