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Q&A
経営 (2016年6月号)
Q スタッフの健康管理
●最近、パートの清掃スタッフが診療中に倒れて救急車で搬送されました。正社員のスタッフは定期健診を受けていますが、パートスタッフは受けていません。健康管理について、どのようにフォローすればよろしいでしょうか。
──静岡県・E歯科医院
A
  パートスタッフの健康管理は、勤務実態によって異なります。正社員の週所定労働時間の3/4以上働くパートスタッフの場合、「労働安全衛生法」という法律にもとづき、正社員と同じように事業所側で健康診断を実施しなければなりません。つまり、一週間に約30時間以上の勤務があれば、医院側で健康診断を行う必要があります。
  また、正社員の週所定労働時間の1/2以上3/4未満のスタッフに対しては、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」にもとづき、「健康診断の実施が望ましい」となっています。なお、正社員の週所定労働時間の1/2未満のスタッフには、健康診断実施に伴う根拠となる規定などはありません。
  定期健康診断の基本健診内容に関する費用は、労働安全衛生法にもとづく健康診断の場合は原則として事業者が負担します。さらに、健康診断を実施した時間分の給与は、事業者による支払いが望ましいとされています。つまり、健康診断も業務の一環として取り扱い、その間は就業したものとみなします。
  正社員が業務の合間を縫って健康診断を受ける場合は、遅刻や欠勤などの扱いはせず、業務の一環として減給しないのが一般的です。したがって、パートスタッフに対しても、正社員と同じように扱い、健康診断の間は給与の支給が求められています。
  なお、医院で加入する健康保険が歯科医師国民健康保険(以下、歯科医師国保)の場合、歯科医師国保が契約する医療機関などから、集団での健康診断の案内が届くことがあります。院内では、あらかじめ受診者を取りまとめて申し込み、健康診断にかかった費用は、受診後に医療機関から医院に対して請求書が届く仕組みになっています。健康診断を確実に実施するため、積極的に利用するとよいでしょう。
  また、年齢が40〜74歳の人には、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査といわれる健診があります。受診を促進するために、医療保険者側が受診できる体制を整えることとなっており、健診費用も医療保険者による負担が主となっています。つまり、歯科医師国保に加入の場合は、歯科医師国保が特定健診にかかる費用を負担するため、事業主もスタッフも費用負担なしで特定健診を受けられる体制が整っています。
  正社員のスタッフに限らず、パートスタッフにおいても、週所定労働時間によって事業所での健康診断の実施が義務づけられているため、体制を整えていないことで、事業所が責任を問われることがないように対処していかなければなりません。定期健診費用については、事業所が負担した費用は福利厚生費として経費に計上できるものです。スタッフに対する福利厚生の充実という意味でも、早急な対応が必要です。
  今回、救急車で搬送された原因が、医院に入職する前からのものか、入職してからのものかは判断できませんが、入職時点での健康状態を明確に把握するためにも、スタッフを採用する際は、採用時点で健康診断の結果報告書の提出を求めるなどの対応が必要です。

門田 亮デンタル・マネジメント・コンサルティング

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