Contents
はじめに
「予防歯科医療」という言葉を、昨今頻繁に耳にするのではないだろうか。少子化・超高齢化が加速的に進行するわが国において、歯科医療に求められる本質は、ここ数年で大きく変化してきたように感じる。さらに、世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させ、われわれの生活をも大きく変えた。
国の政策の一つでもある「骨太の方針」においても、疾病に罹ってしまった後の対策ではなく、重症化予防・健康づくりの方向へと大きく舵を切ってきた。
さらに2023 年度の改訂においては、「リハビリテーションや栄養管理・口腔管理の連携・推進」と謳われるように、歯科専門職による口腔健康管理の充実といった、従来の歯科治療の枠を大きく越えた医療体制が求められている。
だからこそ、従来の目の前の疾病に対する「対症療法」から、疾病に罹らないよう健康であり続けるための「原因療法」に目を向けた、「予防歯科医療」に注目が集まるようになったのだろう。
しかし、「予防歯科医療」といってもその範囲はたいへん広く、どのようにして歯科医院レベルに落とし込んでいけばよいのか、戸惑われている先生方も多いのではないだろうか。
本書はそんな先生方に何か力になることはできないかと、筆者を含めた同じ志をもつ歯科医師で書き上げた一冊である。予防歯科医療についての全体像を把握し、実践的なアプローチを提供することを目的としている。
歯科医院の乱立や患者数の減少、診療報酬の改定、慢性的な人手不足など、現代の歯科医療は多くの課題に直面している。そのなかで、本書は医療の本質と可能性を探求し、筆者らが行った実際の取り組みを供覧する書籍となっている。読者の先生方にとって、予防歯科医療の重要性を理解し、導入するための貴重な一冊となれば幸いである。
2023 年11 月
なみき通り歯科・矯正歯科
安藤壮吾
CONTENTS
安藤壮吾(あんどう しょうご)
2006年 朝日大学歯科部 卒業
2006年 愛知学院大学歯学部附属病院 入職
2013年 なみき通り歯科(愛知県名古屋市) 開業
2021年 なみき通り歯科・矯正歯科愛知県名古屋市) 移転
2021年 なならの丘デンタルクリニック(愛知県名古屋市) 開院
現在に至る
日本歯周病学会 専門医、朝日大学歯学部歯周病学講座、OJ(Osseointegration studyclub of Japan)正会員・理事、EAO(European Association for Osseointegration)認定医、日本臨床歯周病学会 認定医・中部支部理事、日本口腔インプラント学会、JIPI補綴コースディレクター、JIPIペリオ・インプラントコースディレクター、PHIJ Co-Director
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長谷川雄一(はせがわ ゆういち)
2007年 明海大学歯学部 卒業
2008年 明海大学臨床研修プログラム 修了
2008年 明海大学歯学部PDI埼玉歯科診療所 卒後研修プログラム修了
2010年 明海大学歯学部PDI埼玉歯科診療所 勤務
2011年 河津歯科医院(東京都新宿区) 勤務
2016年 長谷川みらい歯科(栃木県宇都宮市) 開業
現在に至る
明海大学・朝日大学歯学部 歯科総合医 Excellent Clinician、明海大学歯学部 臨床講師、 日本顎咬合学会かみ合わせ認定医・関東支部理事、ITD理事、Think Twice 主催
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関 善弘(せき よしひろ)
2003年 日本大学歯学部卒業
2003年 九州大学歯学部附属病院 入職(口腔外科)
2005年 九州大学大学院 歯学府 入学(顎顔面腫瘍制御学分野)
2009年 九州大学大学院 医学研究院 勤務(神経病理学分野、精神病態医学分野、形態機能形成学分野)
2013年 医療法人福和会(福岡県福岡市)勤務
2016年 せき歯科医院(福岡県北九州市)開業
現在に至る
ふくおか糖尿病と歯科セミナー 副代表世話人、日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、日本摂食リハビリテーション学会、日本顎咬合学会、日本糖尿病学会
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饗庭遥香(あいば はるか)
2012年 女子栄養大学 卒業
2012年 社会福祉法人一粒 入社
2019年 長谷川みらい歯科・矯正歯科 入社
現在に至る
管理栄養士、介護福祉士、認定ONP、歯科食育士、サプリメントアドバイザー、食品衛生監視員、食品衛生責任者
本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『予防歯科イノベーション 健康の新しい道標』です。