書評:口腔機能発達不全症対応マニュアル 評価・診断・処置 積み重ねた知見を「いま」に生かす|月刊『デンタルダイヤモンド2026年1月号』TOOTH STATION 掲載

書評:口腔機能発達不全症対応マニュアル 評価・診断・処置 積み重ねた知見を「いま」に生かす|月刊『デンタルダイヤモンド2026年1月号』TOOTH STATION 掲載

歯科医師向け月刊誌『デンタルダイヤモンド』のTOOTH STATION掲載の”書評”をご紹介いたします。今回は、口腔機能発達不全症対応マニュアル 評価・診断・処置 積み重ねた知見を「いま」に生かすの書評を、小林隆太郎先生(日本歯科大学生命歯学部)に執筆いただきました。
是非ご一読ください。

「口腔機能発達不全症」を理解し、「小児口腔機能管理料」算定に繫げるための一冊

口腔機能発達不全症対応マニュアル
評価・診断・処置
積み重ねた知見を「いま」に生かす

 「子どもの成長を守りライフコースとしてのレールをつくる」。これが口腔機能発達不全症への対応である。
 本書は、口腔機能発達不全症を理解する意味で「ケーススタディ」の項目があり、より具体的に把握し、理解を深められる内容であるとともに、これまで試みることができなかった先生方にとって、小児の口腔機能管理への一歩を踏み出すきっかけとなる一冊である。
 平成30年の公的医療保険の診療報酬改定にて保険収載された「小児口腔機能管理料」の最大の特徴は、障がいをもつ子どもたちの摂食機能障害のみならず、健常児の摂食に関する問題への対応も含まれるところだ。つまり、定型発達を示すいわゆる健常児であっても、摂食嚥下機能を含めた口腔機能の獲得が遅れている場合において、公的医療保険の範囲内で指導、管理が行えるというもので、言い換えると対象は、正常な発達過程における機能の獲得に遅れがある小児となる。
 保険収載されるまでは、「口腔機能発達不全症」は存在しなかった。それまで、歯だけを治療するという誤解されたイメージが定着してきたなか、日本歯科医学会は次の時代への展開を考え、「命と向き合い、国民のトータルな健康に心砕く歯科医療」、という今後の歯科医療に必要な概念の定着を目指した。つまり、「歯を大切に」からそれに加えて「命を大切に」へと移行することが大切であると考えたのだ。
 そこで、必要な医療の概念から新病名を作り出し、そこから医療技術を展開していくプロジェクトに初めて取り組んだ。こうした手法はこれまでにはまったくなかった。そうして誕生した病名が、「口腔機能低下症」「口腔機能発達不全症」である。
 歯科医療における口腔機能管理への視点、う蝕、歯周病だけではない口腔機能に対する歯科医療を求めた著者を含めた関係者の活動がそこにあった。
 歯科において生きるとは、食べること、話すこと、そして老いるを考えること。
 いま、社会から「口腔健康管理(口腔機能管理、口腔衛生管理、口腔ケア)」の大切さが注目されている。そのような社会的ニーズは、本書で示されているようにライフステージ別の対応ではなく、人生をライフコースとして捉え、乳幼児期からの口腔機能の発達支援に目を向け、高齢期におけるオーラルフレイルの予防に繫げることが重要であると考える。
 このような意味からも、本書の内容はそれらすべてを理解でき、臨床における実用性を備えたお勧めの一冊である。


(文・小林隆太郎/日本歯科大学生命歯学部)

[デンタルダイヤモンド 2026年1月号掲載]

口腔機能発達不全症対応マニュアル 評価・診断・処置 積み重ねた知見を「いま」に生かす

【編著】
木本茂成 (神奈川歯科大学)
田村文誉 (日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科)

A4判変型・148頁・オールカラー 定価:7,700円(本体 7,000円+税)
小社より好評発売中!

過去の書評一覧はこちら