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はじめに
口腔機能低下症と口腔機能発達不全症が新たな保険病名として採用されてから、6年が経過しました。その間に歯科医師・歯科衛生士国家試験の問題にも含まれるようになり、これからは卒前教育の段階から口腔機能管理について学ぶ世代がどんどん輩出されることとなります。これは、う蝕や歯周病の予防・管理に加えて、生涯にわたる口腔機能管理が求められているということだといえます。
また、2024年の診療報酬改定における口腔機能低下症に関する新しい流れとして、歯科衛生士が口腔機能管理にかかわる教育・指導を行うことに加算が設けられました。これは、歯科衛生士が口腔機能管理に主体的にかかわることが今後強く求められていることを意味しています。
口腔機能の些細な不具合の重複が、低栄養やフレイル、サルコペニアのリスクを高めることが近年の研究でもあきらかになっています。オーラルフレイルの概念も新しくなりました。「食べる楽しみ」や「人と人とのつながり」など、QOL の根幹をなす口腔機能へのかかわりは、かかりつけ歯科医院では必須となるでしょう。
この書籍は、口腔機能低下症にこれから取り組もうとする歯科医師・歯科衛生士に向けて、歯科衛生士の目線で執筆しました。本書が、皆様の臨床のお役に立てれば幸いです。
小原由紀
CONTENTS
小原 由紀(おはら ゆき)
1998年 東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校 卒業
2008年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 卒業
2009年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 特任助教(~2011年)
2010年 首都大学(現・東京都立大学)
大学院人間健康科学研究科修了 修士(健康科学)
2014年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了 博士(歯学)
同年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 講師
東京都健康長寿医療センター研究所 非常勤研究員
2019年 東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長
2022年 東京都健康長寿医療センター研究所 非常勤研究員
2024年 宮城高等歯科衛生士学院 教務主任
本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『1からはじめる口腔機能低下症 2024年保険改定対応版』です。