書評:この道30年 専門家が教える誠のスタッフ教育|月刊『デンタルダイヤモンド2025年6月号』TOOTH STATION 掲載

書評:この道30年 専門家が教える誠のスタッフ教育|月刊『デンタルダイヤモンド2025年6月号』TOOTH STATION 掲載

歯科医師向け月刊誌『デンタルダイヤモンド』のTOOTH STATION掲載の”書評”をご紹介いたします。今回は、この道30年 専門家が教える誠のスタッフ教育の書評を、佐久間利喜先生(新潟県・新栄町歯科医院)に執筆いただきました。
是非ご一読ください。

仕事もプライベートも
苦労したくない院長にお勧めしたい1冊

この道30年 専門家が教える誠のスタッフ教育

 私が杉元信代さんと初めてお会いしたのは2019年、元住吉の海鮮居酒屋でした。以前からSNSでは繋がりがあり、著書やセミナーの告知を拝見しては、「大ベテランの関西のおばちゃん(失礼)」といったイメージをもっていました。そんな折、私が仲良くしているクリニックに見学に行く際に、タイミングよく杉元さんも上京しており、「じゃあ皆んなでご飯でも食べましょうか」と、お会いすることになりました。
 実際にお会いした杉元さんはイメージどおりで、プラスして「思ってたより小柄」といった印象でした。初対面でしたがお酒も入りよい大人同士でしたので、くだらない話をしつつ、悩みや困りごとについて、それとなく相談したことを覚えています。
 さて今回、杉元さんと井上 和さんが『月刊デンタルダイヤモンド』で長年連載してきた記事を書籍化したことを知り、「めでたいことだなぁ」とぼんやり思っていたところ、突然書評の依頼の連絡が来てびっくりしながらも書籍を手に取った次第です。
 連載をご覧のみなさまには改めていうまでもありませんが、本書は著者のお二人がスタッフ教育について語る内容となっております。これがまあ素晴らしく、読んでいて思わず耳が痛くなる内容に仕上がっています(つまり、どのページも私にとってできていないことばかり……)。
 歯科医師になって28年、人様の前で偉そうにセミナーや講演をする立場となりましたが、本書を読んでいると「お二人は私のことをこっそり覗いていたのでは……?」と疑ってしまう内容ばかり。スタッフ教育に限らず、患者教育、さらには家庭での立ち居振る舞いにまで応用が利く、オールマイティな構成です。
 院長(とくに男性)は、つい「そんなのわかっているよ」、「そうはいっても経営する側はね」と言い訳をしたくなります。私もその一人です。しかし、本書に書かれてあるスタッフ側の本音や女性特有の考え方、感じ方。それに加えて簡潔かつ実践的に「こうすればええんやで!」と紹介されている、女性に対しての立ち居振る舞いを読めば、「あのとき辞めたスタッフはこういう気持ちだったのか……」、「初恋のあの人が去ったのはこれが原因だったのかも?」と素直になり、「家庭もクリニックも、もう大丈夫!」と前向きな気持ちになります。
 30年以上歯科医療の現場に立っているお二人の言葉には、相応の「重さ」と院長に対する「愛」が詰まっています。スタッフ教育で悩んでいる院長はもちろん、明るい未来を築きたい院長全員に心からお勧めしたい1冊です。
 海鮮居酒屋で初めてお会いした2019年に連載がスタートしたのも、書評のための伏線だったのではと、今更ながら思っています(笑)。


(文・佐久間利喜/新潟県・新栄町歯科医院)

[デンタルダイヤモンド 2025年6月号掲載]

この道30年 専門家が教える誠のスタッフ教育

【著】
井上 和 歯科衛生士
杉元信代 (株)Himmel/歯科衛生士

A5判・168頁 定価:4,950円(本体 4,500円+税)
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