Dd診断力てすと『暗紫色の軟性膨隆』デンタルダイヤモンド 2022年8月号

阿部陽子 Yoko ABE
仙台赤十字病院 歯科口腔外科 〒982-8501 宮城県仙台市太白区八木山本町二丁目43-3

月刊デンタルダイヤモンド誌に長年掲載され、読者の先生方に人気の「Dd診断力てすと」。
今回は2022年8月号より、「暗紫色の軟性膨隆」についてです。

図❶ 初診時の口腔内写真
図❷ 同、パノラマX線写真

図❸ 同、CT(左:冠状断、右:水平断)
図❹ 同、MRI(左:T1強調像、右:T2強調像)

患者:83歳、男性
主訴:左側上顎臼歯部の疼痛・腫脹と食事困難。
現病歴:10日前から左側上顎臼歯部に疼痛を生じ、3日前に左鼻出血があった。2日前に歯科訪問診療にて同部の腫脹を指摘され、疼痛・腫脹の増悪により経口摂取が低下したため、当科へ紹介となった。
既往歴:アルツハイマー型認知症(介護老人保健施設に入居中)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、高血圧症、高尿酸血症、前立腺肥大。
現症口腔外所見;左頰部鼻翼部から頰部に軽度腫脹あるも熱感はなく、皮膚は正常、知覚異常なし。
口腔内所見;左側上顎臼歯部に暗紫色の軟性膨隆を認め、波動を触知した(図1)。圧迫による退色は認めなかった。また、両側上顎歯肉頰移行部に線状瘢痕を認めた。
画像所見:パノラマX線写真で左上顎結節に多房性の骨吸収像を認め、また、上顎洞後壁とパノラマ無名線が一部不連続であった(図2)。
CT;左上顎洞を占拠する軟部陰影あり、上顎洞周囲から歯槽骨に溶骨性変化あり(図3)。MRI:左上顎洞の病変はT1で高信号、T2で低信号の囊胞様で境界明瞭、内部性状は比較的均一であった(図4)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 血管腫
② 頰部膿瘍
③ 術後性上顎囊胞
④ 歯肉がん

\こちらの回答は月刊 デンタルダイヤモンド 2022年8月号に掲載中!/

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