Dd診断力てすと『上顎左側小臼歯部の無痛性腫脹』

水谷英樹 Hideki MIZUTANI
成田記念病院 歯科口腔外科 〒441-8029 愛知県豊橋市羽根井本町134

月刊デンタルダイヤモンド誌に長年掲載され、読者の先生方に人気の「Dd診断力てすと」。
今回は2023年10月号より、「上顎左側小臼歯部の無痛性腫脹」についてです。

ゼネラルデンタルカタログ

図❶ 初診時のパノラマX線写真(部分拡大像)。部に広範な骨透過像を認める
図❷ 初診時のCT像。骨透過像は頰側および口蓋側に膨隆し、皮質骨は菲薄化している

患者:66歳、女性
主訴:左側上顎歯肉の腫脹
既往歴:高血圧症、高コレステロール血症で通院中。内服薬あり。
現病歴:以前から、左側上顎の歯肉の腫れを自覚していたが、痛みなく放置していた。徐々に大きくなってきたため、かかりつけ歯科を受診した。X線写真で、左側上顎小臼歯部に骨欠損が広範囲にみられたため、精査目的に紹介受診した。
現症:体格、栄養状態は普通であった。口腔内は全顎的に補綴物が多くみられたが、口腔清掃状態は良好であった。ブリッジが装着されていた。軽度動揺がみられたが、歯肉の炎症は軽度であった。部根尖相当部に正常粘膜に被覆された腫脹がみられ、わずかに波動を触知した。圧痛はなかった。なお、ブリッジの装着時期はかなり以前で不明とのことであった。
X線所見:パノラマX線写真では、近遠心的には根尖部を含み近心に至る歯槽部に、上下的には梨状口下縁から部歯槽頂に及ぶ範囲に境界明瞭な骨透過像を認めた。
また、病変により歯根はやや圧排され、近心側に偏位しているのが観察された(図1)。CT像では病変は16×14×13mm大、楕円球形で頰舌(口蓋)側に膨隆し、辺縁に菲薄化した皮質骨を有する境界明瞭な骨欠損として認められた。欠損内部には石灰化物を思わせる構造物は確認できなかった(図2)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 歯根囊胞
② 残留囊胞
③ エナメル上皮腫

④ 石灰化歯原性囊胞

\こちらの回答は月刊 デンタルダイヤモンド 2023年10月号に掲載中!/

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