本のエッセンス|刊行にあたって:チェアーサイドで活きる内科疾患の基礎知識

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『チェアーサイドで活きる内科疾患の基礎知識』です。

刊行にあたって

 超高齢社会で暮らしている私たちは、平均寿命のみならず健康寿命も延びることを願っています。高齢化とともに医療機関を訪れることも多くなり、歯科医院に来院する患者さんの40%以上が高齢者だといわれています。患者さんはすでに何らかの基礎疾患を有しており、治療前にその症状に気付いたり、治療時に急に発症したり、さまざまな場面に遭遇することが予想されます。なかには、すでに経験されている歯科医師も多いと思われます。そのため、歯科医師は全身疾患に関する基本的な知識をもっている必要があります。高齢者や有病者の歯科治療を行う歯科医師は、多様化する内科疾患の基礎知識を身につけ、医科との連携による安心・安全な歯科医療を提供する義務が求められています。
 2018年に出版した私の拙著『歯科医が押さえておきたい生活習慣病Q&A 78』( デンタルダイヤモンド社) は、多くの歯科医師にお読みいただいたと聞き、たいへんうれしく思っています。そうした経緯もあり、今回『チェアーサイドで活きる内科疾患の基礎知識』を上梓いたしました。
 本書は、歯科医院への来院頻度が多い36の内科疾患を厳選して取り上げ、疾患の「概念・定義」を解説したうえで、「医療面接」を通した情報収集と「検査データの見方・読み方」、「お
薬手帳の見方・読み方」をコンパクトにまとめた日常の臨床現場で活用できるガイドブックです。つまり、今後の歯科診療においては、密な問診が必要であり、患者の検査データや処方薬
から病状の理解と把握が求められるのです。また本書では、歯科診療時の注意点などを「内科医から歯科診療へのアドバイス」として取り上げています。さらに、疾患に関連する疑問点や最近のピックスなどを「ひとくちMEMO」や「column」として取り上げて簡潔な解説を加えました。
 本書が多くの歯科医師にご活用いただけることを願い、わかりやすいような記載を心掛けました。しかし、多々過不足もあろうかと思いますので、皆様からの忌憚のないご意見をお待ちしております。
 最後に、本書の刊行にあたってご協力いただきました中野一博先生(前中野歯科医院院長)、篠原光代先生(順天堂大学大学院医学研究科 歯科口腔外科先任准教授)、水澤伸仁先生(医
療法人社団松和会池上総合病院 歯科口腔外科科長)に厚く御礼申し上げます。また、池上総合病院の皆様のご協力に感謝いたします。最後に、出版にあたってご尽力いただきました編集
部の安齋清幸様をはじめ、デンタルダイヤモンド社の皆様に深謝いたします。

2023年春 都庁舎を眺めつつ
富野康日己

CONTENTS

著者プロフィール

富野康日己(とみの やすひこ)

1994~2015年 順天堂大学医学部腎臓内科学講座 教授
2004~2006年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 副院長
2006~2011年  順天堂大学医学部長、順天堂大学理事、順天堂大学評議員
2008~2011年 順天堂大学大学院 医学研究科長
2015〜2018年  医療法人社団 松和会常務理事・アジア太平洋腎臓研究推進
室長
2019年~    医療法人社団 松和会理事長・アジア太平洋腎臓研究推進室長
順天堂大学名誉教授
東都大学客員教授
都立荏原看護専門学校非常勤講師 他
現在に至る
平成3年度 順天堂大学医学部同窓会学術奨励賞 受賞
平成7年度 腎研究会優秀研究賞 受賞
平成19年度 日本腎臓財団学術賞 受賞
2014年 香港腎臓学会 Richard Yu Endowment Found Award 受賞
2016年 台湾腎臓学会 Honorary International Member of the Taiwan
Society of Nephrology
2020年 アジア・太平洋腎臓学会議 Hai Yan Wang Lecture Award受賞 他
【所属学会等】
アジア・太平洋腎臓学会議 元理事長
アジア腎カンファランス 顧問
国際 IgA 腎症シンポジウム 元理事
医療法人財団 東友会 理事
NPO法人 日中医学交流センター 理事 他