本のエッセンス|刊行にあたって:ステイングレーズテクニック チェアサイドCAD/CAM臨床をグレードアップするオールセラミックのキャラクタライズ

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『ステイングレーズテクニック チェアサイドCAD/CAM臨床をグレードアップするオールセラミックのキャラクタライズ』です。

刊行にあたって

 筆者が初めてCERECシステムを使用したCAD/CAM臨床を始めたのが2006年、そしてIPSe.maxCADを使用したステイングレーズテクニックを臨床に用い出したのは2008年からである。以来勤務医時代から開業医となったいまに至るまで、日々CERECシステムを使用し、ステイングレーズテクニックにてキャラクタライズ(個性化)したオールセラミッククラウンを製作、装着している。
 ターニングポイントとなったのは2008年、リヒテンシュタイン公国のIvoclar本社ICDEでの、IPS e.maxCADとチェアサイドファーネスProgramat CSのアジア圏における発売開始に合わせた研修コースであった。高強度ガラスセラミックスを使用して、チェアサイドにてステイングレーズテクニックを行う確立されたシステムと、出来上がるオールセラミックス修復物の美しさに魅せられ、帰国後すぐに自身の臨床に取り入れた。
Programat CSから焼きあがってくる、自身がステイングレーズテクニックにて個性化を施したクラウンを初めて見たとき、その美しさに感動したことをいまでもはっきりと覚えている。
 近年デジタルデンティストリーは急速に拡大し、CERECシステムに代表されるCAD/CAM機器を使用したCAD/CAM臨床は、もはや一般的になりつつある。歯科医師がチェアサイドにて、短時間のうちに一定以上のクオリティが確保された補綴物を、いつでも誰にでも提供できることこそがCAD/CAM臨床の肝であり、その実現にはCERECシステム、高強度ガラスセラミックス、そしてステイングレーズテクニックが現時点ではベストな選択肢であると考えている。
 本書は筆者が10年以上にわたり培ってきたステイングレーズテクニックの基本的な考え方とその着色パターンについて、実際の臨床に即したかたちでまとめたものである。
 内容的にはやや技工よりの、デジタルの裏側にあるアナログ手技について記載した、ある種マニアックな一冊ではあるが、CAD/CAM機器を駆使して天然歯に適合した補綴物を製作するためには、ステイングレーズテクニックは必須技能であり、当然歯科医師自身がチェアサイドにて行えることが最も望ましいとの考えから、その技法について自身の知る知見と技術を紹介させていただいた。手に取っていただいた先生方がCAD/CAM臨床を行ううえでの一助となれば幸いである。

                                    2022年11月
                                     佐々木英隆

CONTENTS

編著者略歴

 佐々木英隆(ささき ひでたか)

2002年  大阪歯科大学卒業
2002年  東京医科歯科大学 部分床義歯補綴学 研修医 (~2004年)
2004年  東京医科歯科大学 部分床義歯補綴学 医員 (~2005年)
2007年  トシデンタルクリニック副院長 (~2012年)
2012年~ チューリッヒ大学 Department of Computerized Dentistry.
Visiting Reseacher (~2013年)
2013年  東京都千代田区にて es Dental Ofiice開設
現在に至る
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Dentsply Sirona Japan インストラクター
Ivoclar Japan インストラクター
International Society of Computerized Dentistry member
ISCD CEREC Trainer
Academy of Dijitalized Denristry Founder