Q&A 歯内 石灰化根管や湾曲根管を穿通・根管形成するポイント|デンタルダイヤモンド 2024年2月号

Q&A 歯内 石灰化根管や湾曲根管を穿通・根管形成するポイント|デンタルダイヤモンド 2024年2月号

学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2024年2月号より「石灰化根管や湾曲根管を穿通・根管形成するポイント」についてです。

根管治療時、湾曲根管や石灰化根管の切削がうまくできず、いつも苦労しています。切削のコツを教えてください。 長崎県・K歯科クリニック

 根管治療の際には、根管形成の前に根尖部までファイルを通して作業長を決定する必要があり、根尖部までの穿通は根管形成における重要なステップの1つです。しかし、湾曲根管や根管の石灰化による狭窄は穿通を困難にする要因となっています。
 今回、初回治療(Initial Treatment)における石灰化根管や湾曲根管の穿通のポイントに焦点を当てて解説します。
 未処置である初回治療で穿通しない原因はおもに、①根管口部(根管上部)の狭窄、②根管自体の狭窄や湾曲などが挙げられ、上顎大臼歯近心頰側根管や下顎大臼歯近心根管などは、とくに穿通が難しい根管です。
 このため、このような根管では、まずはじめに「根管口部(根管上部)の拡大」を行います(図1)。ゲーツグリデンドリルや根管口拡大用ニッケル・チタンファイル(オリフィスオープナー)、超音波ファイルなどを用いて、ファイルがまっすぐ上から入るようにストレートラインアクセスを行います。
 根管口が細く、前述の器具でうまく拡大できない場合は、#15程度のグライドパス用の細いニッケル・チタンファイルで根管口から3~4㎜ までを拡大することもあります(Coronal Pre-flaring)。すると#10などの手用ファイルが根管に入りやすくなります。
 根管口を拡大してもファイルが途中までしか入らない場合、「根管自体の狭窄や湾曲」が考えられ、この場合、#8と#10の2種類のファイルで根尖を目指す方法「8-10Technique」があります(図2)。

石灰化、湾曲などで穿通できない場合の対処法(穿通には#10 のK ファイルを用いる)

図❶ 石灰化、湾曲などで穿通できない場合の対処法(穿通には#10 のK ファイルを用いる)

8-10 Technique のイメージ

図❷ 8-10 Technique のイメージ

 これはまず#8のKファイルが入る長さまで#10のKファイルを入れることで、根管内が少し拡大され、#8が最初の長さよりも数㎜先まで進みやすくなる方法です。これを繰り返すことで石灰化根管や湾曲根管なども#8、その後、#10で穿通しやすくなります。
 注意点としては、#10のKファイルの側面に切削片が付着していない場合、根管壁が削れていないので#8を入れても先まで進まないことです。この場合、レッジや削片の圧搾などが考えられ、こまめな洗浄や潤滑剤の使用も考慮します。また、ファイルの先端には少し湾曲をつけて使用するとよいと思います。無事に穿通ができたらニッケル・チタンファイルなどでグライドパス形成、根管形成を行います。

 根管の穿通・根管形成は根管上部から根尖部へ進むクラウンダウンが基本になります。#10のファイルが進まないときは無理をせず上部を拡大し、また#8などを使用して先に進むかなどの確認をするとよいと思います。

石崎秀隆
●静岡県・きうち歯科医院/長崎大学大学院
医歯薬学総合研究科 歯周歯内治療学分野

デンタルダイヤモンド 2024年2月号 表紙

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