本のエッセンス|はじめに:来院患者数10倍! 歯科広告学入門

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。

この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。

今回は、『来院患者数10倍! 歯科広告学入門』です。

はじめに

 歯科医院経営には、他業界にはない独特の難しさがある。それは、個人の資産で運営する個人事業でありながら、国の方針に従う公務員的な要素も併せもつ点である。これは、お金という個人の豊かさを求める欲求と、社会インフラになることを求められる現実が混在していることを示し、いわば「水と油を混ぜる」ような難しい作業を実現することが、歯科医院経営なのである。

 個人事業なら、自分のやりたいことや売上・利益などのような、個人の欲求が最優先される。その一方で、国は20年後を見据えて制度設計を行う。こちらは将来に向けた準備なので、現時点ではお金となって還元されない。そのうえ、国は「梯子を外す」ことがある。つまり、将来に向けて準備しても、どの程度自分の利益となって還元されるかは不明確なのである。したがって、免許制であるわれわれ歯科医師は、社会インフラとしての役割を無視できないながらも、個人の生活を豊かにする欲求もあり、このジレンマこそが歯科医院経営を難しくしている。

 筆者は、まずは歯科医師個人が豊かになるにはどうすればよいかを念頭におき、歯科医院経営の「広告」に焦点に当てて本書を執筆した。もちろん、社会インフラとしての役割を否定するのではなく、その役割は歯科医師個人が豊かになってから果たせばよいと考えている。

 極めて俗人的な考え方であるが、多くの方が共感して、本書を読み進めてもらえるはずである。

2022年1月
丸橋伸行

CONTENTS

https://www.dental-diamond.co.jp/item/1061

著者プロフィール

丸橋伸行(まるはし のぶゆき)

1999年 広島大学歯学部卒業
     同大学歯科保存学第二講座入局
2001年 神戸市内の歯科医院に勤務
2006年 のぶ歯科クリニック開業
現在に至る

日本障害者歯科学会認定医