本のエッセンス|刊行にあたって:精密歯科治療 ここまできたか!マイクロスコープいろいろ活用術

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、精密歯科治療 ここまできたか!マイクロスコープいろいろ活用術です。

ゼネラルデンタルカタログ

刊行にあたって

 近年、インターネットやスマートフォンなどの普及により、最新の歯科治療の情報を知り得る時代となり、患者さんのデンタルIQも向上しています。かつて患者さんは口コミで歯科医院を探していましたが、年々、近所付き合いも疎遠となり、インターネットで歯科医院を探す時代へと変化しています。実際、患者さんが治療を受ける歯医院を検索する際、ホームページにはマイクロスコープやCTなどの専門用語が頻用され、精密な歯科治療への期待が高まっています。すなわち、これらの装置を用いない歯科治療は、患者さんに選ばれない時代へと変化しつつあるといってもよいのではないでしょうか?
 画像診断は、デンタルX線画像やパノラマX線画像などによる二次元的な診断から、歯科用コンビームCTによる三次元的診断が可能な時代となりました。1回の撮影での情報量が増えることで診断の限界が大きく変わり、精度が飛躍的に向上しています。
 歯科でのマイクロスコープの導入は、歯根端切除術から始まり、いまや保存修復、補綴治療、歯周治療、口腔外科、インプラント治療、小児歯科など、ほぼすべての歯科治療に応用されているといっても過言ではないほど普及しているのが現状です。歯科治療は、手探りの治療からマイクロスコープの導入により、明るく拡大して見ながらの治療へと変化しました。精密歯科治療では、いままで肉眼では治療することが難しかった症例でも治療可能となるケースが年々増加しています。しかし、マイクロスコープ下での歯科治療は、治療部位を直接観察しながら治療できるケースが限られます。多くの精密歯科治療がサーフェイスミラーに映った像をマイクロスコープで観察しながら治療するため、観察はできても見ながら治療するにはそれ相応のトレーニングが必要です。
 マイクロスコープを用いた精密歯科治療の書籍は、これまで歯内療法を中心としたものが多く、すべての歯科治療を網羅したものは、ほとんど刊行されていないのが現状です。
そこで、本書『精密歯科治療 ここまできたか マイクロスコープいろいろ活用術』を企画いたしました。
 本書では、精密歯科治療を8章(chapter)立てにし、各治療分野の第一線で活躍されている専門家に執筆を依頼し、拡大視野がもたらすベネフィットを詳細に解説していただきました。これから精密歯科治療を始める歯科医師、実践する精密歯科治療の分野を広げたい歯科医師のマイクロデンティストリーの最新ガイドとしてご活用いただければ幸いです。
 最後に、ご多忙にもかかわらず快くご協力くださり、限られた紙面にご執筆いただきました先生方に心より感謝申し上げます。

2023年9月
北村和夫

CONTENTS

編集委員プロフィール

北村和夫(きたむら かずお)

1986年 日本歯科大学歯学部 卒業
1990年 日本歯科大学歯学部大学院歯学研究科歯科臨床系 修了
2015年 日本歯科大学附属病院総合診療科 教授

日本歯科保存学会 専門医、指導医、理事     日本歯科医学教育学会 評議員
日本歯内療法学会 専門医、指導医、代議員    関東歯内療法学会 理事 
日本顕微鏡歯科学会 前代表理事(会長)、指導医 米国歯内療法学会 準会員
ジャパンオーラルヘルス学会 理事        日本外傷歯学会 会員 他

▪おもな著書
『マストオブ・イニシャルトリートメント』(デンタルダイヤモンド社,2018)・編著
『マストオブ・リトリートメント』(デンタルダイヤモンド社,2018)・編著
『器材・薬剤からみる歯内療法のすぐれモノ』(デンタルダイヤモンド社,2018)・共著
『外傷歯のみかたと対応』(医歯薬出版,2018)・監修
『口腔外科のレベルアップ&ヒント』(デンタルダイヤモンド社,2019)・共著
『マイクロデンティストリー YEARBOOK 2019』(クインテッセンス出版,2019)・編著
『マストオブ・エンドドンティックサージェリー』(デンタルダイヤモンド社,2019)・編著
『マイクロデンティストリー YEARBOOK 2020』(クインテッセンス出版,2020)・編著
『歯内療法のパラダイムシフト』(クインテッセンス出版,2020)・監著
『治癒に導くエンドの秘訣』(ヒョーロン・パブリッシャーズ,2020)・共著
『マストオブ・ディフィカルトケース』(デンタルダイヤモンド社,2020)・編著
『臨床現場で役に立つ“痛み”の教科書』(デンタルダイヤモンド社,2020)・共著
『マイクロデンティストリー YEARBOOK 2021』(クインテッセンス出版,2021)・編集
『エンド・マテリアルセレクション』(クインテッセンス出版,2021)・共著
『マストオブ・マイクロエンドドンティックス』(デンタルダイヤモンド社,2021)・編著
『日本歯科保存学会認定歯科衛生士テキスト』(口腔保健協会,2021)・共著
『歯内療法のレベルアップ! 最新マテリアル・ツールを活用した臨床テクニック』(ヒョーロン・パブリッシャーズ,2021)・共著
『エンドドンティクス 第6版』(永末書店,2022)・共著
『マイクロデンティストリー YEARBOOK 2022』(クインテッセンス出版,2022)・編集
『私のお気に入りグッズ』(口腔保健協会,2022)・共著
『歯内療法の三種の神器 2023-2024』(デンタルダイヤモンド社,2022)・編著
『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolaris への対応─日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』(ヒョーロン・パブリッシャーズ,2023)・共著
『歯科衛生学シリーズ 保存修復学・歯内療法学』(医歯薬出版,2023)・共著
『マイクロデンティストリー YEARBOOK 2023』(クインテッセンス出版,2023)・編著