位相差顕微鏡とは何か:どうして染めなくても見えるの?|歯科のための位相差顕微鏡 活用・実践マニュアル

位相差顕微鏡とは何か|歯科のための位相差顕微鏡 活用・実践マニュアル

デンタルダイヤモンド社のベストセラー書籍『歯科のための位相差顕微鏡 活用・実践マニュアル』のコンテンツの一つを特別公開!
「位相差顕微鏡とは何か」の「どうして染めなくても見えるの?」についてです。

どうして染めなくても見えるの?

 位相差顕微鏡では、細胞や細菌を染色しなくてもそのまま観察することができます。その理由は、生体組織の屈折率のわずかな違いを利用しているからです6)
 細菌や細胞を構成する成分、たとえば、水やタンパク質、脂質などは、それぞれ微妙に異なる屈折率をもっています。この違いによって、光が試料を通過する際に進む速度(位相)がわずかにずれるのです。
通常の顕微鏡では、この小さな位相差はそのままでは見えません。
 しかし、位相差顕微鏡では、位相のずれを意図的に強調し、明暗のコントラストに変換することで、透明な構造が「明るさの違い」としてはっきり見えるようになります6)

●ポイントになるのは2つのレンズ部品‼
1)位相差対物レンズ(図8
 普通の顕微鏡と同じく、観察するものを拡大するレンズですが、位相差顕微鏡の対物レンズの中には「位相板」という特別なパーツが入っています。
2)位相板
 光の中の「背景の光(=何もないところを通った光)」だけに少し遅れを与えるフィルターのようなもので、細胞を通った光(=内容物のある部分)は、少し遅れて自然に出てきます。この「背景の光」と「内容物を通った光」のズレ(位相差)を強調することで、細胞の中の構造が白黒の影のように見えるのです。
 この技術によって、細胞や細菌の内部構造を生きたまま、無染色で、リアルタイムに観察することが可能となりました。つまり、位相差顕微鏡は、生体組織を傷つけることなく、自然なままの姿を映し出すという点で、従来の光学顕微鏡とは一線を画す画期的な発明なのです。

【参考文献】
6)Inoué, S: Video Microscopy. Springer, New York, 1986.

●位相差顕微鏡に関する基礎知識 はこちらから読めます。

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