本のエッセンス|刊行にあたって:Ni-Tiファイル自由自在 基礎から学んで賢く使おう!

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、Ni-Tiファイル自由自在 基礎から学んで賢く使おう!です。

ゼネラルデンタルカタログ

刊行にあたって

 1993年、最初のニッケルチタン(Ni-Ti)ファイルであるライトスピードが上市された。
ステンレス製手用ファイルを用いた根管治療とは異なり、マイクロモーターエンジンを使用するNi-Ti ロータリーファイルは、時間の大幅な短縮と術者の疲労の減少を可能にした。
そのため、この夢のような機器の到来に、大きな驚きと称賛の声が上がった。
 しかし、多くの利点をもつ一方、根管内でのファイル破折やトランスポーテーション、穿孔などの偶発事故を生じる可能性が指摘されており、「使用をためらっている」あるいは「買ったはよいが使っていない」などの声を耳にする。
 この30年間で、偶発事故の防止や切削効率の向上などを目的とし、さまざまなデザインや異なる使用法のNi-Ti ファイルが数多く登場してきた。これまでNi-Ti ファイルに関する多数の論文や出版物はあるが、あまりにも多くのNi-Ti ファイルが入手可能となった現在、どのファイルを選べばよいかが非常にわかりにくい。また、使用していたNi-Ti ファイルが販売終了となることもあり、最新のファイル事情に関する知識をつねにアップデートしなければならないのが現状である。
 本増刊号では、最新のNi-Ti ファイル事情を勘案し、「押さえておきたいNi-Ti ファイルの基本的知識」、「Ni-Ti ファイル使用の勘どころ」および「Ni-Ti ファイル トラブルシューティングQ&A」を大項目として、熟練の臨床家から新進気鋭の臨床家まで、幅広いエンドのスペシャリストにご執筆いただいた。現在使用されているNi-Ti ファイルの特徴、使用法やその注意点などが手に取るようにわかる。まさに、Ni-Ti ファイルのいまを知るには最適の一冊となっている。
 Ni-Ti ファイルは怖いものではない。Ni-Ti ファイルを正しく理解して使用することで、そのすばらしい恩恵を受けることは間違いない。
 本増刊号は、歯内療法のエキスパートだけではなく、Ni-Ti ファイルを自身の臨床に取り入れたい、あるいは興味があるという臨床家にとって、幅広い知識のレベルアップを可能にする。また、ベーシックからアドバンスまでの内容を網羅していることから、若い臨床家にも本書を手に取っていただき、明日の臨床に役立てていただきたい。

2023 年9月
日本大学歯学部 歯科保存学第Ⅱ講座
武市 収

CONTENTS

編集委員略歴

武市 収(たけいち おさむ)
1987年 日本大学歯学部 卒業
1991年 日本大学大学院歯学研究科 博士課程 修了
1991年 Forsyth Research Institute, Department of Immunology, Postoctoral Research Fellowship
1995年 日本大学歯学部 歯科保存学第Ⅱ講座 助手
2005年 日本大学歯学部 歯科保存学第Ⅱ講座 講師
2013年 日本大学歯学部 歯科保存学第Ⅱ講座 准教授
2020年 日本大学歯学部 歯科保存学第Ⅱ講座 主任教授
現在に至る
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日本歯科保存学会、日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会、
日本歯科教育学会、国際歯科医学会米国先進科学学会

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木ノ本喜史きのもと よしふみ
1987年 大阪大学歯学部 卒業
1992年 大阪大学大学院歯学研究科 修了
1997年 米国テキサス大学サンアントニオ校歯学部客員研究員
2001年 大阪大学歯学部附属病院 講師
2005年 大阪府吹田市にて開業
2009年 大阪大学歯学部 臨床教授
現在に至る
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日本歯科保存学会、日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会

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石井信之いしい のぶゆき
1983年 神奈川歯科大学歯学部 卒業
1983年 神奈川歯科大学歯科保存学講座 助手
1993年 Forsyth Research Institute, Department of
Immunology, Postdoctoral Research Fellowship
    (~1994)
1997年 広島大学歯学部歯科保存学講座 兼任講師
    (~2006 年)
1998年 神奈川歯科大学歯科保存学講座 講師
2007年 神奈川歯科大学歯科保存学講座 教授、同大学院 教授
2009年 東北大学歯学部歯内歯周治療学講座 兼任講師
    (~2019年)
2011年 広島大学歯学部先進医療開発学講座 兼任講師
2015年 九州大学歯学部歯科保存学講座 兼任講師
現在に至る
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日本歯科保存学会、国際歯科医学会、歯科基礎医学会、日本免疫学会、日本歯周病学会、日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会