Contents
はじめに
本書に興味をもっていただき、誠にありがとうございます。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2 )感染拡大により、一般の患者さんも感染管理への関心が急速に高まりました。
これまでは、優れた治療技術やわかりやすい治療説明などが他院との差別化に繫がり、患者さんにもメリットをもたらしてきました。しかし、これからはそれらと同等、あるいはそれ以上に感染に対する安心・安全を提供できる歯科医院が求められる時代が到来したことは間違いないでしょう。
本書は、「今後10年間、感染管理の参考書として多くの歯科医療従事者の参考となるようにしたい」というコンセプトのもと、DHstyle 誌で連載した内容をベースとしています。
あらゆる文献を精査し、なるべく質の高いエビデンスに基づいたグローバル・スタンダードな情報の提供に注力しました。そのエッセンスをまとめ、歯科医師や歯科衛生士をはじめとするすべての歯科医療従事者を対象とし、新たに加筆・訂正を加えたものが本書です。
本書中でも述べているとおり、感染管理は「難しくて手間がかかり、そのうえコストまで要する」として、敬遠されがちなイメージをもっている方も少なくありません。しかし、実際に要点を押さえて効率よく取り組めば、そのような心配は不要です。普通のことを普通にやれば大丈夫です。本書には、その「コツ」がギッシリ詰まっています。
筆者は、石原総合歯科医院で15年以上積み重ねてきたエビデンスに基づく感染管理の実務を経験し、大学院では感染制御に関する「科学的な考え方」を学びました。
そこから得た情報を臨床現場にフィードバックし、試行錯誤を繰り返してつねに最善を求めてきた知識や経験があるからこそ、本書を執筆できたのだと自負しています。
したがって、本書は実践で鍛えた、実践可能な内容を選りすぐって収載しています。
臨床現場で感染管理をマネジメントする方や実践する方、興味のある方など、多くの方に活用していただけたら幸いです。
エビデンスに基づく感染管理を、より効率的・効果的に実践できると思います。
本書の出版にあたり、「ハイパー感染管理」の名づけ親である前橋市でご開業の大野純一先生、DHstyle 編集部の木下様、大西様にはたいへんお世話になりました。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました!
それでは、皆様を「ハイパー感染管理」の世界へ誘いたいと思います。
2022年3月
佐藤繭美
CONTENTS
https://www.dental-diamond.co.jp/item/1065
佐藤繭美(さとう まゆみ)
2001年 群馬県歯科衛生士専門学校(現 群馬県高等歯科衛生士学院)卒業
2006年 医療法人社団 石原総合歯科医院副院長
現在に至る
●取得資格・その他
感染制御士、第一種滅菌技師、第一種歯科感染管理者、日本救急医学会 ICLS、日本歯周病学会認定歯科衛生士
●おもな執筆
・柏井伸子(編著),入江悦子,佐藤繭美,佐藤久美子,早川幸,太田知歩,山口千緒里:書き込み式 歯科衛生士のための感染管理のきほん,DHStyle増刊号,13(14),2019.
・佐藤繭美,石原宏一(監):実践! エビデンスに基づくハイパー感染管理,DHStyle,15(3)~16(2),2021,2022.
石原宏一(いしはら こういち)
2000年 日本大学歯学部卒業
群馬大学医学部附属病院 歯科口腔外科
2005年 群馬大学医学部付属病院 集中治療部・救急部
2006年 石原総合歯科医院 開院
2014年 群馬大学医学部大学院医学系研究科博士課程(臓器病態救急学)修了
現在に至る
●資格取得・その他
AHA BLS・ACLS、日本救急医学会 ICLS、国際口腔インプラント学会専門医、インフェクションコントロールドクター(ICD)
●おもな執筆
・Ishihara K, et al:The Usefulness of Envaluation of IgG Antibodies against Periodontopathic Bacteria for Prediction of Vascular Disease.J Cardiovasc Dis Diagn,2:1,2014.
・Ishihara K, et al:Proggnostic factor in emergency patients aged 90 years and older.Acute Med Surg, 1(2):83-87,2014.
・石原宏一,他:急性四肢動脈閉塞症患者にWarfarin 投与は必要か?. 日本外科学会雑誌,107:572,2006.
・石原宏一,他:歯科医院におけるスタンダードプリコーションの実践と問題点.群馬県歯科医学会雑誌,17:63-67,2013.
他多数
本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『歯科診療所のためのエビデンスのあるハイパー感染管理 コストから投資への転換』です。