第50回日本歯科麻酔学会総会・学術集会が、10月27日㈭~29日㈰、昭和大学上條記念会館(東京都品川区)において開催された(大会長:飯島毅彦氏・昭大歯)。「歯科麻酔専門医の活動の場を広げよう」をテーマに、多彩なプログラムが組まれた。
特別講演2「緩和ケアにおける倫理的葛藤」では、高宮有介氏(昭和大学医学部)が登壇。終末期医療に携わる医療従事者が倫理的葛藤を受け入れるには、自身の心のケアが必須であり、その具体的な方法として「マインドフルネス」を紹介し、実際に瞑想を体験する時間が設けられた。
公開討論2「全麻か 鎮静か」では、3症例において、全身麻酔と静脈内鎮静法のどちらの適応が望ましいのか、それぞれの立場から発表・討論が行われた。本講演では、各症例の発表前後で会場の意見をスマートフォンから受けつけ、その結果をリアルタイムで表示。会場参加型の白熱した議論が交わされた。
特別講演3「障害者歯科治療での安全な全身管理」では、弘中祥司氏(昭大歯)が、わが国では総児童数が減少傾向にあるにもかかわらず、障害児は増加傾向にあることをデータとともに示した。そのうえで、重度・重複の心身障害を抱える児童も多数おり、従来から行われてきた術者の経験に基づいた抑制下の歯科治療に疑問を呈した。そして、障害者歯科医療においては、治療の確実性・安全性を担保する観点からも、今後、歯科麻酔医のさらなる活躍が求められていると強調した。