Dd診断力てすと『舌の有茎性病変』デンタルダイヤモンド 2018年5月号

4.舌がん(紡錘細胞がん)

紡錘細胞がんは、扁平上皮がんの亜型の1つである。初期には有茎性あるいは広基性の外向性腫瘍像を呈することが多いとされる。この時期に完全に切除することが望ましい。紡錘形細胞を主とする多形性細胞の増殖からなる、肉腫様の組織像を示す高悪性度がんである。免疫染色では、間葉系マーカーであるビメンチンとともに一部に上皮系マーカーであるサイトケラチンの陽性像が認められる。

処置および経過

全身麻酔下で舌部分切除術を行った。周囲に10mmの安全域を設定し切除した(図❹)。術後2日目から経口摂取を開始し、術後6日目に退院した。術後約3年が経過した現在まで、再発・転移の所見はなく経過良好である。

病理組織学的所見

紡錘形の異型細胞の増殖(紡錘細胞がんの部分)と、腫瘍の基部では多角形の大型の異型細胞を認め、角化傾向があり、がん真珠を伴っていた(従来の扁平上皮がんの部分:図❺)。紡錘形の異型細胞ではビメンチンが陽性(図❻)、サイトケラチンは弱陽性で、角化傾向を示す異型細胞はビメンチンが陰性、サイトケラチンが陽性(図❼)であった。

図❹ 切除標本

図❺ H-E染色(中拡大)。紡錘形の異型細胞
Spindle cell)の増殖と従来の扁平上皮がん(Conventional SCC)の併存

図❻ 免疫染色(ビメンチン)。紡錘形の異型細胞はビメンチンが陽性

図❼ 免疫染色(サイトケラチン)。従来のSCCの部分ではサイトケラチンが陽性

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です