Dd診断力てすと『掻痒感を伴う口唇の腫れ』デンタルダイヤモンド 2020年01月号

吉田博昭 Hiroaki YOSHIDA
井関富雄 Tomio ISEKI
大阪歯科大学 口腔外科学第一講座
〒573-1121 大阪府枚方市楠葉花園町8-1


図❶ 初診時の開口時写真

図❷ 初診時の閉口時写真


患者:78歳、女性
主訴:口唇のひりひり感
家族歴:特記事項なし
既往歴:軽度認知症はあるが、介護士のデイケアを受けながら自宅で生活。その他、常備薬や特記事項なし。
現病歴:2週前から上下口唇に違和感を覚え、自宅にあった消毒薬を自分で口唇周囲に塗布し消毒していたが、ますます口唇の腫脹、発赤が増悪し、掻痒感がピリピリとした痛みになってきたため、介護士同伴で当科を受診した。
現症
全身所見:体格中等度、栄養状態良好。四肢や体幹に皮膚症状なし。
口腔内所見:上下口唇に赤唇だけでなく皮膚移行部まで発赤を伴うび漫性腫脹を認めた(図❶)。また、両側口角部に潰瘍を伴う口角炎を認め、開口障害もみられた(図❷)。口腔前庭や固有口腔には潰瘍やびらんはみられず、口腔粘膜にも異常はなかった。
画像所見:口唇の炎症を惹起し得る歯性病巣は認められなかった。
各種臨床検査結果: RBC 421×104mm3、WBC 7,800mm3、PLT 14.3×104mm3、抗デスモグレインIII抗体(-)、抗デスモグレインI抗体(-)、抗BP180抗体(-)、真菌検査(-)。。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 天疱瘡
帯状疱疹
③ 口腔カンジダ症

薬剤性口唇口角炎