Dd診断力てすと『顎下部の硬結』デンタルダイヤモンド 2017年7月号

長谷剛志
Takashi HASE
公立能登総合病院 歯科口腔外科
〒926-0816 石川県七尾市藤橋町ア部6-4


図❶ 初診時の顔貌写真

図❷ 初診時のMR画像(T2WI)

図❸ H-E染色(x40)


患者:48歳、女性
主訴:左側の頸部が腫れて硬い
家族歴:特記事項なし
既往歴:特記事項なし
現病歴:1ヵ月ほど前より口腔の乾燥感と左側顎下部の硬結を自覚し、近在歯科医院を受診したところ、精査および加療目的のため当科に紹介受診となった。
現症:体格は痩せ型であるが、栄養状態は良好。
口腔外所見:顔貌は左右非対称。左側顎下部付近に、母指頭大で硬結を伴う無痛性の腫脹がみられる(図❶)。発赤は認められず、皮膚色は正常であった。
口腔内所見:唾液の湿潤度が少なく、口腔内は全体的に乾燥していた。
臨床検査所見(初診時):WBC 8,900/μL、CRP 0.52、血清IgG4 168㎎/dL、IgG4/IgG 65%、抗SSA-La抗体 0.5未満(-)、抗SSB-Lo抗体 0.5未満(-)
画像所見:MR画像(T2WI)(図❷);左側顎下腺は対側に比して腫大し、内部にごく淡い高信号を呈する境界不明瞭な病変が認められた。
術前針生検:組織学的に、腺房細胞の破壊を伴ったリンパ球および形質細胞の浸潤像が認められた(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① Sjögren症候群
悪性リンパ腫
③ 顎下腺唾石症
④ Küttner腫瘍