審美性を求める患者に対して多く採用される「コンポジットレジン修復」という治療方法があります。天然歯となじみやすい分、充填材料を選ぶ際には色調の違いを把握し、慎重に検討する必要があります。
コンポジットレジンは年々進化していることから、最新の動向を把握しておくことで治療の満足度を高めることもできるでしょう。本記事では、コンポジットレジンの歴史と今後について詳しく解説します。
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ここ10年におけるコンポジットレジンの進化
コンポジットレジンはさまざまなメーカーが開発・販売していますが、メーカーごとに比較してみると表面の研磨性や色調に細かな違いが見られます。
まず、コンポジットレジンの研磨性はフィラーが細かいほど研磨性に優れ、加工がしやすい傾向にあります。電子顕微鏡で見た際の粒径が小さいものほど研磨しやすいのは当然のことですが、フィラーの配合量や結晶構造なども研磨性に影響を与えやすいようです。
また、色調については、2011年時点では複数のメーカーのコンポジットレジンに類似した傾向が見られました。しかし、その後2017年頃になるとメーカーごとに色調の変化が見られるようになり、独自性を見いだし他社との差別化を図るようになってきました。
同じ白でも、明度・彩度・色相がメーカーごとにわずかに異なることから、それぞれの特徴を歯科医自身が把握し選択する必要があります。
コンポジットレジンの直近の傾向と製品の特徴
従来、コンポジットレジンでは2層または3層と積層充填するコンセプトの製品が一般的でした。しかし、ここ数年の間に単層充填に対応した製品が発売されるようになり、積層充填に比べて治療がしやすいことから多くの歯科医師に支持されるようになっています。
具体的にどういった製品が登場しているのか、代表的なものを3つ紹介しましょう。
➀オムニクロマ
オムニクロマという製品には、従来では一般的であった顔料が含まれておらず、赤色から黄色に発色する構造色のみで色調を再現します。顔料が含まれていないことから、年月が経過しても変色や色あせなどが生じる可能性は低いと考えられます。
②ビューティフル ユニシェード
ビューティフルユニシェードは、光透過性と光拡散性のある特殊なフィラーが採用されており、周囲の光を取り込むことにより色調をマッチさせます。色調の適合に迷うことがなく、充填の治療そのものも簡単で手間がかかりません。
③クリアフィル マジェスティ ESフロー
クリアフィルマジェスティESフローも光透過性に優れ、周囲の色調とマッチしやすい特徴があります。「U」、「UD」、「UOP」、「UW」のシェードがあり、たとえば前歯には「U」または「UD」、ホワイトニングを行った歯など特に明度の高い歯には「UW」を使用するなど、部位に応じて使い分けをすることで審美性が確保できます。
コンポジットレジンの今後
ここ10年のコンポジットレジンに関する変遷を見ても、メーカーごとに差別化が図られ製品が多様化しています。また、コンポジットレジン充填材料を選ぶ際に困ることの多かった、明度・彩度・色相といった色調の調整についても、単層充填をコンセプトとした製品が多く登場していることで、審美性を確保しながらも治療にかかる手間を簡素化することが可能となっています。
歯科の世界では口腔内スキャナーの活用が期待されており、やがてはAIが口腔内の画像を読み取り、最適な充填材料や充填方法を選択してくれるようになるかもしれません。
デンタルダイヤモンド社は歯科医療従事者のために情報を発信していきます
患者さんに対する最適な治療を提案する上で、コンポジットレジンの進化に関する知識を知っておくことは必須だと考えられます。
また、それ以外にも歯科治療の最新情報や業界の動向は知識として頭に入れておきたいものです。
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まとめ
コンポジットレジンのメーカーごとに異なる特徴を知っておくことは、患者さんの治療に対する満足度を高めることになる要素の一つです。
患者さんとのコミュニケーションのなかで、審美性を求める場合には今回ご紹介したコンポジットレジンの近年の動向を知ったうえで、最適な治療の提案ができるようにしましょう。
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