歯科衛生士の勉強会とは?扱うテーマや参加するメリットについて

歯の治療やメンテナンスに関する高度な専門性をもった歯科衛生士は、歯科クリニックはもちろんのこと保健所や介護施設などにおいて欠かせない専門職です。

歯科衛生士になるためには国家試験に合格する必要がありますが、継続的なスキルアップを目的としてさまざまな勉強会や研修会も実施されています。

本記事では、歯科衛生士を対象とした勉強会ではどういったことを学ぶのか、参加するメリットや意義についても解説します。

2024年内に予定されている歯科衛生士の勉強会

歯科衛生士として働くためには歯科衛生士国家試験に合格し、厚生労働大臣の認定を受ける必要がありますが、資格を取得した後も継続的なスキルアップに取り組むことが大切です。

そこで、日本歯科衛生士会をはじめとしたさまざまな団体、企業では歯科衛生士向けの勉強会・研修会を実施しています。

2024年内に予定されている勉強会の一例をご紹介しましょう。

日本歯科衛生士会主催の勉強会

公益社団法人日本歯科衛生士会では、歯科衛生技術の向上を目的としてさまざまな勉強会・研修会を実施しています。

歯科衛生に関する学習の分野は幅広く、クリニックの現場で役立つ臨床研修はもちろんのこと、安全管理や在宅歯科医療など勉強会の内容は多岐にわたります。

また、歯科衛生士会は全国の都道府県に設置されており、各地域が主体となってさまざまな研修会・勉強会を行っています。

以下に、研修会・勉強会の一例をご紹介します。

(一例ですので、実際の開催テーマ、開催日時等は日本歯科衛生士会のWebサイトでご確認ください)

例:House Call Dentistry〜訪問の裾野を広げる研修会〜口腔ケア&機能訓練合宿~

会場(公益社団法人)東京都歯科衛生士会2階会議室 各自自宅等(収容人数:40人)
定員8 人 (Web ライブ配信定員:80 人)
受講料東京都会員:5,500円 他府県会員:6,600円 会員外:13,200円
内容・単位数4 単位・B リフレッシュコース B リフレッシュコース (4単位)

【ハイブリッド型】第3回がん患者を支える歯科衛生士のための研修会

会場愛媛県松山市柳井町2丁目6-2
定員100 人 (Web ライブ配信定員:100 人)
受講料無料
内容・単位数2 単位・特定コース b 周術期の口腔機能管理 Ⅰ がん治療とは (2単位)

【オンデマンド配信研修】 エックス線写真からわかること-歯周病編-

会場〒001-0017 北海道札幌市北区北17条西3丁目 木村ビル305
定員30名
受講料会員4,000円 非会員12,000円
内容・単位数4 単位・B リフレッシュコース B リフレッシュコース (2単位)・特定コース b 周術期の口腔機能管理 Ⅷ チーム医療 連携 (2単位)

なお、最新の勉強会・研修会の予定については日本歯科衛生士会のWebサイトで検索できます。

◆日本歯科衛生士会:研修・学習・認定◆

オンラインでの勉強であれば、“研鑽の場”として(株)デンタルダイヤモンド社と日本歯科衛生士会が共同開発した“DH-KEN”(ディーエイチケン:歯科衛生士-研修)も利用できます。

◆DH-KEN◆

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企業や一般の団体が主催する勉強会・研修会も存在

公的機関以外にも、さまざまな民間企業・団体が主催している勉強会や研修会も多くあります。

たとえば、歯科衛生士を対象とした勉強会の中には、最新の治療法や治療機器のノウハウを学べる勉強会や、患者との円滑なコミュニケーションをとるための研修、歯のクリーニングやホワイトニングといったメンテナンスをテーマにした勉強会などもあります。

デンタルダイヤモンド社のWebサイトでは、歯科衛生士や歯科医師、歯科助手が参加できるさまざまなセミナー情報を掲載しているため、ぜひこちらも参考にしてみてください。

◆セミナー 一覧◆

歯科衛生士の勉強会で扱われるテーマ

歯科衛生士向けの勉強会では、主に実践の現場で役立つ臨床技術をテーマに行われることが多くありました。

現在でもそのような勉強会は多いですが、歯科衛生士に求められる知識やスキルは年々多様化しており、勉強会で扱われるテーマも拡大傾向にあります。

たとえば、口腔機能低下症や口腔機能発達不全症といった新しい疾患が増えており、これらに対する知識や対応方法も習得しなければなりません。

また、歯周病をはじめとした疾患は口腔内に留まらず、体のさまざまな部位と密接に関わっていることも判明しており、従来に比べて幅広い知識が必要になっています。

それに伴い、今後は他職種との連携が重要になったり、チーム医療の中で口腔衛生を守る専門家として歯科衛生士が重要な役割を果たすようにもなるでしょう。

さらに、臨床現場にはCAD/CAM機器などさまざまな医療機器や最新の設備が導入されており、デジタル化・DX化にも適応していかなければなりません。

このように、歯科衛生士として第一線で活躍し続けていくためには、時代とともに移り変わる臨床環境の変化をキャッチアップしていくことが求められます。

その自己研鑽の場のひとつとして、多様なテーマを扱う勉強会や研修会を活用することがおすすめです。

関連記事:歯科出版社がおすすめする『SRP・スケーリング』の専門書・本 7選

歯科衛生士の勉強会に参加するメリット

歯科衛生士の勉強会に参加することによって、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。

スキルの向上

勉強会に参加することで、歯科衛生士に求められる専門的な知識を得られたり技術の向上が期待できます。

新しい治療技術や予防ケアの方法はもちろんのこと、患者と円滑なコミュニケーションをとるコツなどもテーマとして扱われるため、現場で役立つスキルを得られる貴重な機会となるでしょう。

特に臨床技術をテーマとした勉強会では、実際の症例を通じた学習や実習など日常の業務に生かせる専門的な内容が多く、書籍や論文を読むだけでは得られない実践力が身につきます。

キャリアアップにつながる

歯科衛生士として第一線で活躍し続けるためには、知識やスキルの積み重ねが必要であり、それがやがてキャリアアップのための基盤となっていきます。

勉強会では最新の知識を学ぶだけではなく、認定歯科衛生士などの専門的な資格取得に向けたサポートも得られます。

さまざまな資格は自分にとっての武器となり、キャリアの幅が広がり専門性の高い業務に携わるチャンスを得ることで、昇進や給与アップ、さらには好条件のクリニックへの転職もしやすくなるでしょう。

情報交換やネットワーキングの場として

同じ職場で働き続けていると、自院以外で働く歯科衛生士とコミュニケーションを図れず、幅広い視点からの知見を取り入れることは難しいものです。

歯科衛生士の勉強会には同じ業界で働くさまざまな人が参加しており、交流を図る場としても活用できます。

歯科医師ではなく歯科衛生士という同じ立場同士であるからこそ、最近取り入れた新しい治療法や治療機器などの情報を共有したり、日々の業務で感じている疑問点や課題について気軽に相談しやすくなります。

ブランクがある場合の情報アップデート

歯科衛生士は女性の割合が圧倒的に多く、結婚や出産などを機に仕事を離れるケースが少なくありません。

しかし、子育てが一旦落ち着いたタイミングなどで復職しようとしても、ブランクが空きすぎてしまうと仕事についていけるか不安に感じることもあります。

このように、ブランクがある歯科衛生士を対象とした勉強会も数多く開催されており、これに参加することで現場復帰に向けての準備やスキルの再確認ができ、スムーズな復職をサポートします。

関連記事:ブランクがある歯科衛生士の復職は大変?復職支援制度・セミナーについて紹介

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勉強会以外の歯科衛生士としてのスキルアップ方法

全国各地で実施されている勉強会の多くは集合形式のため、日々の業務が忙しく時間がとれないという方も多いでしょう。

また、参加可能な人数にも制限があり、特に人気の勉強会では申込数が上限に達し参加できないケースも想定されます。

しかし、スキルアップという目的を果たすのであれば、勉強会以外にもさまざまな方法が考えられます。

先輩歯科衛生士の助言を仰ぐ

同じクリニックや職場に先輩の歯科衛生士がいるのであれば、その人に相談しアドバイスをもらう方法もあります。

臨床経験が豊富な歯科衛生士は、さまざまな知識や技術に長けていることが多いほか、患者とうまくコミュニケーションをとるコツも熟知しています。

身近にベテランの歯科衛生士がいなければ、同僚や知人などの伝手を頼りに相談相手を見つけるという方法もあります。

動画コンテンツの視聴や書籍の活用

最新の臨床技術や知識を習得するためには、動画コンテンツや専門書籍などを参考にしてみるのもひとつの手です。

特に昨今ではe-ラーニングのコンテンツも提供されており、自宅や職場にいながらでもインターネット環境さえあれば学習できます。

冒頭でご紹介した勉強会やセミナーの中にも、オンライン形式で配信されているコンテンツはあるため探してみましょう。

認定資格の取得に向けた勉強

歯科衛生士としてのキャリアアップを目指すのであれば、ある分野に特化した専門性を身につけ武器にすることが重要です。

そこでおすすめなのが、自分が目指したい専門分野の認定資格を取得することです。

たとえば、小児歯科の専門性を磨くのであれば日本小児歯科学会が認定している認定歯科衛生士、歯周病の予防・治療に関する専門性を身につけるのであれば日本臨床歯周病学会の認定歯科衛生士、インプラント治療の臨床技術を磨くためには日本口腔インプラント学会のインプラント専門歯科衛生士などがあります。

いずれも難易度の高い試験に合格する必要があるほか、受験資格や更新などについても条件が定められているため、あらかじめ条件に合致するかを確認しておきましょう。

関連記事:歯科出版社がおすすめする『咬合・補綴』の専門書・本 10選

まとめ

全国的に歯科衛生士は不足傾向にあり、歯科クリニックや保健所、介護施設などでは即戦力となる人材の需要が高まっています。

しかし、資格を保有しているからといって第一線で活躍できるとは限らず、特にブランクがある方にとっては不安に感じられることもあるでしょう。

また、すでに歯科衛生士として働いているものの、よりよい待遇を求めてキャリアアップを目指している方もいるかもしれません。

そのような方にとって、さまざまな臨床技術や知識を学べる勉強会は復職やキャリアアップを支援するための貴重な機会となるでしょう。

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