- 当院のスタッフは学会やセミナーに積極的に参加していますが、院内へのフィードバックがあまり上手でなく、情報共有が十分にできていないように感じます。学んだことをしっかりと院内に落とし込むよい方法や勘どころなどを教えてください。 香川県・T歯科医院
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学会やセミナー参加は、なかなかあたり前にできることではありません。そして、院長が満足するような結果にならないこともよくあります。まずは、なぜそうなってしまうのか考えてみましょう。
1.スタッフの気持ち
スタッフ本人が「気になるから行ってみたい! 」と思っているかが大切です。人は興味があるものに対しては積極的に行動を起こします。院長に「行ってきて」と言われて参加するのと、「行きたい」と思って参加するのとでは、ワクワク感も違えばインプットしようとする気持ちも違います。
あるセミナーに興味をもたせたいならば、日ごろの臨床で、スタッフが困っていたり、悩んだりしていることを院長が理解したうえで、セミナー参加を促すのが効果的です。そうすることでスタッフ同士での共有が自然と起こり、院長が知らないところで結果が出ていることもあります。2.院長も一緒に
スタッフのアウトプットがうまくいかないときは、できるだけ院長のサポートも必要だと思います。最も効果的なのは、スタッフと一緒にセミナーに参加することです。そうすることで、わからないことや面白かったことを複数人ですぐ共有できるとともに、スタッフには安心感が出ます。
また、医院に落とし込みたい内容は、トップである院長がしっかり理解したうえで広げないかぎり、浸透しにくくなることが多くなり、スタッフ任せになってしまいます。院長はやらなければいけないことが多くなりますが、一歩ずつ、着実に医院へアウトプットを行うとよいでしょう。3.「医院」のためではなく、まず「本人」のため
スタッフは医院の一員であることは間違いありませんが、「駒」ではありません。一人の歯科医師、歯科衛生士、歯科助手として育ってほしいという気持ちを最優先事項に、一人ひとりに合ったセミナーの受講を選択してはいかがでしょうか。それが継続されることで、スタッフは自然と院内へ学んだことを落とし込んでくれるに違いありません。4.楽しいことも盛り込んであげる
セミナーに行くことは楽しいと感じることもありますが、場合によってはあまり乗り気でないこともあるかもしれません。そのようなときは、前日に現地入りさせ、観光などが多少できるよう、ゆとりを与えると前向きになるでしょう。5.当院の取り組み
当院では、日々の臨床のなかでの気づきを最も大切にしています。セミナーや学会参加で得られる知識はとても大切です。しかし、患者さんとのやりとりや、治療のなかで自分で疑問をもつ、自分で調べる、自分でチャレンジしてみることの重要性はさらに高いと考えます。そのなかで「もっと知りたい! 」、「自分がいままでやってきたことが合っていたのか再確認したい! 」と感じていれば、筆者がセミナーを探して勧めます。また、本人が自主的に探して受講を申し出てきたりすることもあります。
また日帰りでセミナー受講できる場合でも、気分転換のために現地宿泊などをした結果、セミナー自体も楽しく受講できて学びも多く、院内へのフィードバックもスタッフみんなで聞くという流れができました。●
スタッフの人数が増えると一人ひとりとコミュニケーションが取りにくくなるかもしれませんが、売り上げよりも人材育成は重要でしょう。
人と人との繫がりを大切にすることで医院も成長しますので、いま以上にスタッフ個人を大切にしてはいかかでしょうか。岡田真和
●静岡県・岡田歯科医院
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学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2024年3月号より「スタッフの学会・セミナー参加を院内で共有するコツ」についてです。