小林 恒1) Wataru KOBAYASHI 鄭 明源2) Beng Gwan TEH
1)弘前大学大学院医学研究科 歯科口腔外科学講座
2)三沢市立三沢病院 歯科口腔外科
患者:5歳10ヵ月、男児
主訴:上唇の腫脹
既往歴:食物アレルギー(生後6ヵ月から4歳前まで;小麦・卵・乳製品・サーモン)
家族歴:特記すべき事項なし
現病歴:3ヵ月くらい前より上唇腫脹が出現した。腫脹は数日で改善傾向があったが、完全には消退せず、近医歯科および近医皮膚科を受診した。皮膚科から近医小児科を紹介され受診し、同院でクインケ浮腫・後天性血管性浮腫の診断でトラネキサム酸の投薬を受けるが、改善しないため総合病院小児科を紹介された。同小児科より、口腔内精査のため歯科口腔外科へ紹介となった。
現症:身長65.5cm、体重24.5kg。成長発育に問題はなかった。口腔外所見として、顔貌は左右対称で、上唇に硬結を伴わない浮腫状の腫脹を認めた(図1)。口腔内所見として、上顎歯肉のの歯頸部から歯槽歯肉にかけて、発赤と浮腫状の腫脹および上唇小帯部に潰瘍を認めた(図2)。また、軟口蓋粘膜に小アフタを認めた。さらに、の隣接面にう蝕を認めたが、いずれの乳歯にも動揺、打診痛はなかった。
X線所見:デンタルX線写真では、う蝕以外に異常所見を認めなかった(図3)。
血液検査所見:白血球 17,550/μL、ヘモグロビン 13.4g/dL、血小板数 43.7万/μL、CRP 0.71mg/dL、IgE 3,115.5 U/mL(上昇)であり、5歳児としてはCRPの軽度上昇とIgE髙値以外は異常所見は認めなかった。
① クインケ浮腫
② 歯周炎
③ エプーリス
④ Orofacial granulomatosis
\こちらの回答は月刊 デンタルダイヤモンド 2023年11月号に掲載中!/
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今回は2023年11月号より、「口唇と歯肉が腫れている」についてです。