- 蛇口を介した新型コロナウイルスの感染を防ぐ方法
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歯科診療施設には用途の異なる蛇口があります。手指衛生用、汚染器材の洗浄用、歯科技工用、そして洗口コーナーや化粧室内の蛇口です。また、その用途を兼用しているものもあるでしょう。汚染原因は、使用後の手袋を装着したまま蛇口に触れる、シンクからの水の跳ね返り、洗口時の飛沫、蛇口の構造上の問題1)などが挙げられます。新型コロナウイルス感染予防対策としては、水回りの換気も含め、蛇口の汚染予防や汚染された場合の対応を考える必要があります。
手指衛生用の蛇口では、「汚染された手袋で蛇口に触れることは絶対に避ける」、また、蛇口を閉める際には直接触れないようにするため、「手を拭いた後のペーパータオルで閉める」、「肘を使う」などの工夫が考えられます(図❶❷)。
器具の洗浄に際しては、作業効率を考えると作業時の手袋を着用したまま触れる可能性もあり、バリアテクニックを応用し、蛇口をラッピング(各種フィルム、ラップ、ビニール袋など)して、そのつど交換する方法もあります(図3)。歯科技工用も同様です。
スタッフ用も含めた化粧室や洗口コーナーの蛇口やトイレの水洗レバーは、使用のたびに患者やスタッフによる清掃が理想ですが、一日のなかで定期的な清拭作業で行うのが現実的でしょう。
清拭時には手袋やマスクを着用し(状況に応じてガウン)、アルコール(エタノールまたは2-プロパノール)、0.05%次亜塩素酸ナトリウム希釈液3)、製品評価技術基盤機構の推奨する界面活性剤4)での清拭が勧められています。
スタンダードプリコーションでは蛇口も含め、水回りは環境表面対策の一環として実施し、蛇口は臨床的接触表面対策、シンクはハウスキーピング対策を行います5,6)。いずれの場合も、それぞれの施設でスタッフが実施可能な対策を考え、それを全員で共有し、遵守することが大切です。
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医科領域では、緑膿菌、アシネトバクター、その他の湿潤した環境を好む微生物による感染症予防を目的に、水質とともに水回りの感染対策が重要視されています。
われわれ歯科医療従事者も今回の新型コロナウイルス感染症を、水回りの環境感染対策7)を見直す機会にしたいものです。
図❶ 手指衛生時に使用したペーパータオルで蛇口を閉める

図❷ 肘を使って蛇口を閉める

図❸ バリアテクニックの応用
【参考文献】
1)中村 造:医療施設における水回りの管理の在り方─水道・シンクに潜む微生物の基本と伝播の早期発見.感染対策ICTジャーナル,15(4):280-285,2020.
2)Chris M: Infection Control and Management of Hazardous Materials for the Dental Team 6th Edition. ELSEVIER, 2018.
3)国立感染症研究所 国立国際医療研究センター 国際感染症センター:改訂2020年10月2日 新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-01-201002.pdf).
4)製品評価技術機構:新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が含まれている製品リスト(https://www.nite.go.jp/data/000120161.pdf).
5)蓮池祥江:歯科医院における環境感染対策.院内感染防止対策のスタンダード.デンタルダイヤモンド増刊号,45(6):132-135,2020.
6)塚本高久:チームで取り組む消毒・滅菌.デンタルダイヤモンド社,東京,2013.
7)藤原滿里子:手洗い器・流し台・汚物処理槽─シンク形状の違いを踏まえて.感染対策ICTジャーナル,15(4):311-317,2020.鈴木信治●神奈川県・鈴木歯科医院
Q&A その他 蛇口を介した新型コロナウイルスの感染を防ぐ方法|デンタルダイヤモンド 2021年6月号

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今年の1月に、共用洗面所の蛇口を介した可能性が高いとされる、新型コロナウイルス感染症の集団感染が報道されました。そこで、蛇口を使用する際の感染予防対策を教えてください。
──香川県・T歯科医院