患者とのトラブルを回避する治療承諾書:チームで成功させるホワイトニング-壁を乗り越えるポイントと臨床テクニック-

デンタルダイヤモンド社より発刊されている書籍の選りすぐりのコラムの一部を紹介する記事です。今回は、『チームで成功させるホワイトニング-壁を乗り越えるポイントと臨床テクニック- 』コラム「JUMP UP!」よりお届けします。

 「はじめに」(P.004)でも述べたように2017年12月以降、契約期間が1ヵ月を超え、かつ金額が5万円を超える歯のホワイトニングは、特定商取引法(特商法)の規制の対象となり、クーリングオフ制度が適用されることになった。
 また、一般財団法人日本歯科審美学会では「漂白治療の特商法適応に対するワーキンググループ」が設立され、特商法の内容も見据えた「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」がまとめられている。
 末石1)は、ホワイトニング契約の前に処置内容や金額などの概要を説明した書面(契約書面)を交付する必要性を強調し、表1のような注意点を述べている。

表1 ホワイトニング契約時の注意点

  • 契約書面を交付した日から(交付した日を含めて)8日を過ぎるまでの間は、消費者(患者)は何の理由がなくとも、契約を解除して全額の返金を求めることができる。
  • 契約書面を交付していた場合、クーリングオフをされたとしても、販売したマウスピースや漂白剤がすでに使用・消費されている場合には、これらの代金を返還する必要はない。
  • 契約書面を交付した日を含めて8日間が経過した後も、消費者(患者)は中途解約が可能。


 そこで図1に当院で用いているホワイトニング契約書を紹介する。これに沿うことで、患者に対してもれなくホワイトニングについて説明できるだけでなく、術者間の説明に関する誤差も最小限にとどめることができる。

図1
筆者の医院で用いているホワイトニング契約書(2015年当時の愛知学院大学歯学部 ホワイトニング同意書をもとに改変)

参考文献
1)末石倫大:新・こちらジュリスト ホワイトニングの注意点.日本歯科評論, 78(11): 174-175, 2018.

https://www.dental-diamond.co.jp/item/858

著者プロフィール

ぱんだ歯科(愛知県北名古屋市開業)
須崎 明(すざき あきら)

【略歴】
平成18年3月 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
平成12年3月 愛知学院大学大学院歯学研究科修了、博士(歯学)の学位取得 
平成12年4月 愛知学院大学歯学部保存修復学講座 助手
平成12年4月 平成12年度 日本歯科保存学会奨励賞 受賞
平成13年4月 愛知学院大学歯学部附属病院審美歯科外来 医員
平成13年7月 2001年 The International Conference on Dentin/Pulp Complex, “Young Investigator Award” 受賞
平成14年4月 愛知学院大学歯学部保存修復学講座 講師 
平成15年9月 モンゴル国立健康科学大学 客員准教授
平成17年3月 愛知学院大学歯学部保存修復学講座 非常勤講師
平成17年4月 ユマニテク歯科製菓専門学校 非常勤講師
平成17年4月 ぱんだ歯科 院長
平成17年5月 東海歯科医療専門学校 非常勤講師
平成30年5月 医療法人ジニア ぱんだ歯科 理事長
現在に至る

【所属学会】
愛知学院大学歯学会会員 
日本歯科保存学会会員
日本レーザー歯学会会員(専門医・指導医)
日本歯科審美学会会員(認定医)
日本歯科理工学会会員
IADR(国際歯科研究学会)会員
JADR(国際歯科研究学会日本部会)会員
Academy of Operative Dentistry(米国保存修復学会)会員
日本接着歯学会会員
日本臨床歯周病学会会員
日本歯周病学会会員
日本顕微鏡歯科学会会員
IADFE(International Academy for Dental Facial Esthetic)Fellow