2022年7月号 「左頬部の腫れ」
井筒崇司 Takashi IZUTSU
山形県立中央病院 歯科口腔外科 〒990-2292 山形県山形市大字青柳1800番地
患者: | 78歳、女性 |
主訴: | 左側頬部の腫脹 |
既往歴: | 人工股関節置換術後、高血圧症 |
現病歴: | 当科初診X−3日より左側頬部の腫脹を自覚するも、痛みなく放置。その後、腫脹が急激に増悪してきたために近医歯科医院を受診し、精査加療目的にX日に当科紹介となった。 |
現症: | |
全身所見; | 全身状態良好、体温36.5℃ |
顔面部所見; | 左側頬部から相当の下顎骨下縁にかけて直径約40mmの広基性で弾性硬の腫瘤を触知し、同部に軽度皮膚発赤も認めた(図1)。腫瘤は比較的境界明瞭で痛みはなく、可動性は認めなかった。オトガイ神経麻痺や開口障害もみられなかった。 |
口腔内所見; | は欠損しており、臼歯部歯槽粘膜に特記所見は認められなかった。 |
検査所見: | 白血球 5,740/μL、CRP 0.28mg/dL |
画像所見: | パノラマX線写真では骨吸収などの異常像は認められなかった(図2)。造影MRIの脂肪抑制T2強調像で造影効果のある中等度信号の腫瘤性病変を認めた(図3)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.悪性リンパ腫 | |
2.蜂窩織炎 | |
3.横紋筋肉腫 | |
4.増殖性筋炎 |