2022年4月号 「顎骨内の透過性病変」
仲村秀明 Hideaki NAKAMURA 松山博道 Hiromichi MATSUYAMA
中橋一裕 Kazuhiro NAKAHASHI
中橋一裕 Kazuhiro NAKAHASHI
松阪市民病院 歯科口腔外科 〒515-8544 三重県松阪市殿町1550番地
患者: | 44歳、女性 |
主訴: | 左側下顎埋伏智歯部の透過性病変の精査 |
家族歴、既往歴: | 特記事項なし |
現病歴: | 2020年8月に右側下顎臼歯部に自発痛が出現し、近歯科医院を受診。周囲炎と診断されたが、パノラマX線写真で左側下顎埋伏智歯部歯冠周囲に透過像を認めたため、当科での精査を勧められ、紹介受診となった。 |
全身所見: | 体格中等度。栄養状態良好であった。 |
局所所見: | 顔貌左右対称、下顎智歯は両側ともに完全埋伏歯であり、口腔内より歯は確認できなかった。相当部歯肉に軽度の圧痛を認めたが、相当部の周囲歯肉には炎症所見は認めなかった。左側下顎大臼歯部にあきらかな骨の膨隆は認めなかった。 |
画像所見: | パノラマX線写真にて両側下顎に埋伏智歯を認め、の歯冠周囲に類円形のX線透過像を認めた(図1)。デンタルX線写真では、CEJ付近より歯冠全体を取り囲む、類円形で境界明瞭な透過像を認めた。遠心根に歯根吸収像は認めなかった(図2)。CTにて、歯冠周囲に内部がほぼ均一で境界明瞭な透過像を認めた。舌側皮質骨は一部菲薄化していたが、あきらかな骨の膨隆は認めなかった(図3)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.含歯性嚢胞 | |
2.歯原性角化嚢胞 | |
3.扁平歯原性腫瘍 | |
4.エナメル上皮種 |