2022年3月号 「抜歯後治癒不全」
石川恵生 Shigeo ISHIKAWA 飯野光喜 Mitsuyoshi IINO
山形大学医学部 歯科口腔・形成外科学講座
〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2
〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2
患者: | 25歳、女性 |
主訴: | 左下顎智歯の抜歯後の痛みと違和感 |
既往歴: | 4年前に急性骨髄性白血病のため造血幹細胞移植が行われ、その後寛解が得られたため、血液内科医による経過観察がなされていた。 |
現病歴: | 約2ヵ月前にの動揺と違和感を自覚したため、近医歯科医院を受診し、の抜歯術を受けた。抜歯後も痛みや違和感といった症状が改善しなかったため、同歯科医院を再度受診したが、抜歯後感染の診断で抗菌薬を処方され、終診となっていた。 しかし、左下顎部の症状は改善傾向になかったため、血液内科主治医に相談したところ、当科へ紹介となった。 |
現症: | |
口腔外所見; | 顔貌は左右対称で、左下顎部の腫脹や頸部リンパ節の腫脹は認めなかった。 |
口腔内所見; | 左下顎智歯の抜歯部位に、表面粘膜が粗造で、比較的境界明瞭な外向性腫瘤を認めた(図1)。硬結を触知せず、非常に軟らかい病変であった。排膿や出血は認めず、また周囲粘膜の発赤や腫脹も認めなかった。なお、口腔衛生状態は極めて良好であった。 |
画像所見: | |
パノラマX線画像; | 左下顎智歯の抜歯部位に、あきらかな異常所見は認めなかった(図2)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.抜歯後感染 | |
2.エプーリス | |
3.急性骨髄性白血病髄外再発 | |
4.下顎骨骨髄炎 |