2020年12月号 「顎骨に疼痛を認める病変」
山川延宏 Nobuhiro YAMAKAWA 桐田忠昭 Tadaaki KIRITA
奈良県立医科大学医学部 口腔外科学講座
〒634-8521 奈良県橿原市四条町840
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図1 初診時のパノラマX線写真
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図2 初診時のCT画像
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図3 初診時の骨シンチグラフィ画像
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患者: | 17歳、女性 |
主訴: | 右側下顎の腫脹・疼痛 |
既往歴: | 左側踝骨骨髄炎(当科初診9年前に手術)、脛骨骨髄炎(自然治癒) |
現病歴: | 当科初診の数年前から右側下顎部に疼痛を自覚。当科初診1年6ヵ月前に同部の疼痛を主訴に、整形外科を受診しMRI検査を施行されたが、う蝕による反応性変化と診断されていた。当科初診1ヵ月前より再度同症状が増強してきたため、当科紹介受診となった。 |
現症: | 体格中等度、栄養状態は良好。右側下顎部に軽度の腫脹を認め、右側顎下リンパ節には圧痛を伴う10mm大の可動性のあるリンパ節を触知した。口腔内所見として、![]() ![]() ![]() ![]() |
初診時血液検査: | 白血球数 67×102/μL、赤血球数 422×104μL、ヘモグロビン 12.0g/dL、CRP 0.2mg/dL、AMY 142U/L、Alb 4.5g/dL、血沈 12mm。 |
画像所見: | パノラマX線写真(図1)では、![]() ![]() ![]() ![]() coronal像では下歯槽管を越えて同様の境界不明瞭な骨欠損像を認め、一部下顎骨下縁にも及んでいた。骨シンチグラフィ(図3)では同部に強い集積像が認められた。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.ランゲルハンス細胞組織球症 | |
2.悪性リンパ腫 | |
3.下顎骨骨髄炎 | |
4.骨肉腫 |
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