2020年12月号 「抜歯後に血が止まらない」
        小林 恒 Wataru KOBAYASHI
        弘前大学大学院医学研究科 歯科口腔外科学講座 〒036-8563 青森県弘前市本町53
        


図1 当科初診時の顔貌写真

図2 当科初診時のCT画像


| 患者: | 68歳、男性 | 
| 主訴: | 抜歯後出血と左側頬部の腫脹 | 
| 現病歴: |  残根のため近医歯科で抜歯を受けたが、抜歯後出血が持続した。抜歯後2日目に同歯科医院で抜歯窩再掻爬を行ったが止血されず、左顔面の腫脹と開口障害が出現したため、抜歯後3日目に当科を紹介され、初診となった。 | 
| 既往歴: | 高血圧症、高脂血症、6年前より汎血球増加と血液像異常が指摘され、現在内科で精査中であった。 | 
| 家族歴: | 特記すべき事項なし | 
| 現症: | 体格中等度、栄養状態不良、体温は37.4℃。左側眼窩下部から左側頬部にかけて、び漫性の腫脹と部分的に皮下出血斑を認めた。頬部の腫脹部には波動を触知した。 口腔内所見として  部に凝血塊があり、持続性の出血を認めた。画像所見として、パノラマX線写真上の抜歯部に異常は認めない。臨床検査所見として、白血球数11.2万/μL、赤血球数690万/μL、血小板数103.3万/μLと汎血球増加を認めた。凝固系検査はPT-INR1.28と、軽度上昇していた。CRP<0.02であった。 | 
| Q | 最も疑われる疾患名は? | 
| 1.本態性血小板症による凝固異常 | |
| 2.抜歯後感染による頬部皮下膿瘍 | |
| 3. 急性骨髄性白血病 | |
| 4.慢性播種性血管内凝固症候群 | 


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