2020年11月号 「下顎の腫脹」
小板橋 勉 Tsutomu KOITABASHI
寿泉堂綜合病院 歯科口腔外科 〒963-8585 福島県郡山市駅前1-1-17
図1 前医初診時の口腔内所見
図2 初診時の顔貌所見
図3 初診時の口腔内所見
図4 初診時のCT所見
| 患者： | 76歳、女性 |
| 主訴： | 下顎が腫れてきた |
| 既往歴： | 高血圧症 |
| 家族歴： | 特記事項なし |
| 現病歴： | 約１年前より左側下顎前歯部歯肉に腫脹を自覚していた。改善がみられないため、近医歯科を受診した。診査の結果（図１）、 辺縁性歯周炎急性発作の診断となった。消炎目的に抗菌薬の投与を行い、保存不可と診断した および の抜歯を行った。症状は一時的に緩解したものの、その後に左側下顎前歯部歯肉に腫瘤を伴う腫脹を認め、オトガイ部にも異常な腫脹が出現し、精査および加療目的のため当科に紹介初診となった。
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| 現症： | 体格中等度、栄養状態は良好であった。当科初診時、オトガイ部に異常な腫脹を認めた（図２）。また、左側下顎前歯部歯肉に腫瘤を伴う腫脹を認めた（図３）。所属リンパ節に異常所見はなかった。 |
| 画像所見： | 初診時のCT画像にて、下顎前歯部全体に広範な骨破壊像を認めた（図４）。 |
| Ｑ | 最も疑われる疾患名は？ |
| １．エナメル上皮腫 | |
| ２．悪性リンパ腫 | |
| ３．エプーリス | |
| ４．下顎骨骨髄炎 |
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