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2020年11月号 「水疱形成を伴う歯肉発赤」
冨原 圭 Kei TOMIHARA
富山大学学術研究部医学系 歯科口腔外科学講座
〒930-0194 富山県富山市杉谷2630
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図1 上下顎の歯肉に発赤を認め、剥離やびらんを伴う
図1 上下顎の歯肉に発赤を認め、剥離やびらんを伴う
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患者: 45歳、女性
主訴: 難治性の歯肉炎
既往歴: 鉄欠乏性貧血、虫垂炎
アレルギー歴: 特記事項なし
現病歴: 半年ほど前より、上下顎のさまざまな部位の歯肉に発赤と、ときどき水疱形成も認めるようになった。疼痛もあることから、かかりつけの歯科医院を受診したところ、歯肉炎の診断でブラッシングなどの口腔清掃指導と歯周治療を受けた。その後も症状は改善することなく、近在の皮膚科を受診するも原因がはっきりしなかったため、精査加療の目的で当院を受診した。
現症:         全身所見; 栄養状態は良好で全身倦怠感はなく、また、全身の皮膚にもあきらかな異常所見を認めなかった。
口腔外所見; 顔色は良好で顔貌は左右対称、眼瞼結膜の貧血や眼球結膜に黄疸を認めなかったものの、両側の眼瞼に軽度の癒着を認めた。
口腔内所見; 上下顎ともに、広範囲の歯肉に発赤と接触痛を認め、一部は剥離やびらん伴っていた。しかし、目立ったプラークの付着はなく、lu7に4mm、ld7に5mmの歯周ポケットを認めたが、それ以外のポケットデプスは全顎的に2〜3mmであった(図1)。
血液検査所見: 白血球数は5,510/μL、CRPは0.04と正常範囲内であったが、Fe21μg/dL、ヘモグロビン10.7g/dL、ヘマトクリット32.1%と貧血傾向を認めた。その他、肝機能、腎機能の異常を示唆する所見や電解質異常は認めなかった。また、血清学的検査では、ELISA法による抗核抗体、抗BP180抗体、抗デスモグレイン1抗体、抗デスモグレイン3抗体はいずれも陰性であった。
 
最も疑われる疾患名は?
1.疱疹性歯肉炎
2.扁平苔癬
3.尋常性天疱瘡
4.粘膜類天疱瘡
ANSWER
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