2020年09月号 「右下顎のびまん性腫脹」
兵東 巌 Iwao HYODO
岐阜市民病院 歯科・口腔外科 〒500-8513 岐阜県岐阜市鹿島町7-1
図1 初診時の顔貌は右下顎にびまん性の腫脹を認めた
図2 は萌出しておらず、の残存を認めた
図3 初診時のパノラマX線写真
図4 CT所見では病巣と周囲骨との境界は比較的明瞭であった
患者: | 10歳、女性 |
主訴: | 右下顎の腫れ |
既往歴・家族歴: | とくになし |
現病歴: | バレーボールの練習中にチームメイトの肘が右下顎に当たり、同部位の腫れを自覚するようになった。約半年後、近医耳鼻科でインフルエンザの治療を受けたとき、主治医より右下顎腫脹を指摘され、紹介にて当科を受診した。 |
現症: | |
口腔外所見; | 右下顎にびまん性の腫脹を認めた。口唇の知覚鈍麻は認められなかった(図1)。 |
口腔内所見; | は萌出しておらず、を認め、の近心傾斜を認めた(図2)。 |
X線所見; | パノラマX線写真では右下顎骨体に病変を認め、の埋伏を認めた(図3)。また、CTでは病巣と周囲骨との境界は比較的明瞭であった(図4)。 |
血液検査所見: | アルカリフォスファターゼ835U/L(正常値:106〜322)クレアチニンキナーゼ202U/L(正常値:41〜153)とやや高値を示したが、その他、とくに異常は認められなかった。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.セメント質骨性異形成症 | |
2.家族性巨大型セメント質腫 | |
3.線維性骨異形成症 | |
4.骨形成線維腫 |