2019年07月号 「顎骨内の歯牙様不透過像」
鶴巻 浩 Hiroshi TSURUMAKI
社会医療法人仁愛会 新潟中央病院 歯科口腔外科
〒950-8556 新潟県新潟市中央区新光町1-18
〒950-8556 新潟県新潟市中央区新光町1-18
図1 初診時、口腔内写真
図2 初診時、パノラマX線写真
図3 初診時、軸位断CT
患者: | 55歳、女性 |
主訴: | 右下顎の腫脹 |
現病歴: | 20年前、某歯科でう蝕治療を行った際、の埋伏を指摘され、大学病院への受診を勧められたが、症状なく放置した。初診1ヵ月前、右下顎部に腫脹、疼痛を生じ、かかりつけ歯科を受診し、セフジトレンピボキシル300mg/dayを6日間処方され改善した。今回、精査加療を目的に当科を紹介され、受診した。 なお、7、8歳ごろに下顎前突があり、口腔内装置を約3ヵ月間装着し、改善したというエピソードがある。また、右顔面部に外傷の既往はない。 |
初診時現症: | |
全身所見; | 体温36.4℃ |
口腔外所見; | 右側下顎部〜顎下部にかけて発赤、腫脹を認めた。 |
口腔内所見; | 相当頬側歯肉に軽度の発赤、腫脹、圧痛を認めた。は著明に近心傾斜し、は口腔内には直接みえなかった。は動揺著明で、歯周ポケットより血性膿の排出がみられた(図1)。 |
パノラマX線写真所見; | 相当骨体部に、不整形な粒状〜突起状の石灰化物を伴うと考えられる歯牙様不透過像を認めた(図2)。 |
CT所見: | 軸位断では部に不整形の塊状石灰化物を認め、周囲には帯状の透過像がみられ、その中に粒状の小石灰化像が散在していた。周囲の骨には硬化性変化がみられる(図3)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.埋伏歯 | |
2.低位歯 | |
3.歯牙腫 |