2019年03月号 「女児に認められた上顎前歯部の歯肉腫脹」
二宮雅美1) Masami NINOMIYA 岩本 勉2) Tsutomu IWAMOTO
湯本浩通1) Hiromichi YUMOTO
湯本浩通1) Hiromichi YUMOTO
1) 徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯周歯内治療学分野 2) 同 小児歯科学分野
図1 初診時の口腔内写真
図2 初診時のパノラマX線写真
図3 歯肉の病理組織像
患者: | 10歳、女児 |
主訴: | 上顎前歯部の歯肉腫脹 |
現病歴: | 1年前から、上顎前歯部を中心に歯肉腫脹が認められ、近医にて口腔清掃指導や含嗽剤の処方を受けたが改善しなかった。小児科での血液検査では異常がなく、服用薬物もないため、本院での精査を希望して来院した。 |
既往歴: | 喘息(現在は完治)、卵アレルギー |
現症: | 上顎前歯部の唇側歯肉にび漫性の歯肉腫脹が認められ、プロービングデプスは6〜8mm認められた。下顎歯肉の腫脹は軽度であった(図1)。 |
X線所見: | 全顎的に歯槽骨吸収は認められなかった。は先天性欠損で、乳臼歯が残存していた(図2)。 |
細菌検査; | 歯周病原細菌の検出は認められなかった。 |
歯肉の病理組織所見: | 上皮は不規則に伸長しており、線維性結合組織の増生を認めた。炎症性細胞浸潤は軽度であった(図3)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.萌出期関連歯肉炎 | |
2.アレルギー性歯肉病変 | |
3.歯肉線維腫症 |