2018年9月号 「繰り返す下顎智歯の疼痛」
家森正志
Masashi YAMORI
Masashi YAMORI
滋賀医科大学医学部 歯科口腔外科学講座
〒520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町
〒520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町
図1 パノラマX線写真
図2 初診時デンタルX線写真
図3 病理組織写真
患者: | 61歳、男性 |
初診: | 2016年4月中旬 |
主訴: | 下顎右側智歯の疼痛(歯冠周囲のX線透過性病変の治療依頼) |
現病歴: | 2013年に近在歯科医院受診時にパノラマX線写真を撮影したところ、が骨性埋伏しているのを指摘された(図1a)。2015年のパノラマX線写真において、歯冠周囲の透過像はやや拡大していたが、症状がないため経過観察となった(図1b)。2016年4月初旬より下顎右側に疼痛を認め、近在歯科医院を受診。パノラマX線写真にて歯冠周囲の透過像が拡大していたため、当科紹介され受診した。 |
既往歴・家族歴: | 特記事項なし |
現症: | |
口腔外所見; | 顔貌は左右対称で、右側頬部に発赤、腫脹は認めなかった。下唇の知覚異常は認めなかった。頸部および顎下部に腫大したリンパ節は触知しなかった。 |
口腔内所見: | 遠心歯肉の表面は平滑で軽度の発赤およびび漫性の腫脹を認め、同部の圧迫にて遠心歯肉ポケットより排膿を認めた。 |
画像所見: | デンタルX線写真にて歯冠周囲に境界不明瞭な透過像を認めた(図2)。 |
処置および経過: | 初診時、局所洗浄と抗菌薬投与を行った。4月下旬および5月初旬にも同部の疼痛のために受診され、局所洗浄と抗菌薬の処方を行った。5月下旬同部の疼痛を繰り返すため、遠心歯肉の切開を行い、組織を一部採取して病理組織検査を行った(図3)。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.含歯性嚢胞 | |
2.智歯周囲炎 | |
3.歯原性角化嚢胞 | |
4.原発性骨内癌 |