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Q&A
歯科一般 (2022年2月号)
Q 掌蹠膿疱症が疑われる患者への対応
●掌蹠膿疱症が疑われる患者が来院しました。その患者はレジン築造のなかに既製金属ポストが入っていますが、すぐに除去すべきでしょうか。
──福岡県・K歯科
A
掌蹠膿疱症が疑われる患者における治療の進め方として、まずはその皮膚症状が本当に掌蹠膿疱症かどうかを皮膚科医に確認することから始めます。なぜならば、視診で判断している皮膚科医が多く、病理検査を行って判断する皮膚科医は極めて少ないためです。
 また、掌蹠膿疱症は現在、金属アレルギーの関与よりも病巣感染の関与が高いといわれていますので、歯周病の有無、根尖病変の有無を調べましょう。もし、それらがあれば、その治療を先に行ったほうがよいと思われます。
 扁桃も掌蹠膿疱症の主原因といわれています。そのため、扁桃を摘出をするかどうかを皮膚科医および耳鼻科医と連携して決める必要があります。なお、摘出後の改善率は90%といわれています。
 「パッチテスト」は検査者間の誤差が大きく、偽陽性、偽陰性になることが多いテストです。そのため、金属除去に関しては皮膚科医に確認することを強くお勧めします。たとえば、「患者の金属を除去しようと思うのですが、金属の関与の可能性は高いと思いますか?」というような質問をすると、多くの皮膚科医は詳細な情報を提供してくれます。
 そして、「パッチテスト陽性=金属除去」では決してありません。除去の前に、「皮膚科での治療がしっかり行われているか」、「パッチテストの結果がどれほど信用できるものなのか」、「歯周病や根尖病変はないか」、「扁桃などの関与の可能性はあるか」などを、真剣に皮膚科医と議論することが非常に大切です。
 いままで、筆者自身も金属除去を積極的に行っていた時期もありましたが、改善しないことも多く経験しました。いま考えれば当たり前で、その当時は患者の疾患の全体像をまったく摑めていなかったのです。
 目の前の既製金属ポストを外す前に、まずはしっかりと患者の疾患の全体像を摑むことが必要でしょう。「木を見て森を見る医療」こそ、掌蹠膿疱症患者の治療には大切だと考えます。

押村憲昭
愛知県・かすもり・おしむら歯科

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