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TopQ&A法律 > 商品価格の総額表示における注意点(2021年8月号)
Q&A
法律(2021年8月号)
Q商品価格の総額表示における注意点
●今年の4月から義務づけられた商品価格の総額表示について、詳しく教えてください。また、当院でも物販品や治療費などの価格の表記を変更しましたが、見落としがちなところはありますか?
── 埼玉県・K歯科クリニック
A
1.総額表示とは?
消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどであらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含む)を含めた価格を表示することを「総額表示」といいます。
 具体的には、たとえば本体価格1万円の商品につき、「11,000円」、「11,000円(税込み)」、「11,000円(税抜価格10,000円)」、「11,000円(うち消費税額等1,000円)」などの表示であれば、総額表示に該当するので適切となります。一方、たとえば「10,000円(税抜き)」、「10,000円(本体価格)」、「10,000円+税」などの表示は、総額表示に該当しないので不適切となります。

2.具体的な表示方法
  「10,000円(税込み11,000円)」というような表示は、総額表示義務に反するものではありません。もっとも、財務省HP「総額表示に関する主な質問」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/a_001.htm)では、「他の表示方法に比べて文字の大きさや色合いなどを変えることにより『税抜価格』をことさら強調し、消費者に誤認を与えたり、トラブルを招くような表示となる可能性も懸念されます。このような表示がされた場合には、総額表示の観点から問題が生じ得ることはもとより、そうした表示によって、『9,800円』が『税込価格』であると消費者が誤認するようなことがあれば、『不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)』の問題が生ずるおそれもあります。」とされています。
 総額表示は、不特定、かつ、多数の者に対する取り引き(一般的には消費者取り引き)において求められるものです。そのため、たとえば仕入れ業者との間の見積書、契約書、請求書などは総額表示義務の対象ではありません。
 一方、総額表示が義務づけられるのは、あらかじめ取引価格を表示している場合です。価格表示がされていない場合にまで、価格表示を強制されるものではありません。そのため、たとえば患者に対して治療費を口頭で説明したのみで、書面などで説明していなかった場合、口頭での説明において「消費税相当額を含む支払い総額」の説明が義務づけられるわけではなく、また、総額表示した書面などによる説明が義務づけられているわけでもありません。
 「総額表示義務」は、値札、POP、広告などの「消費税相当額を含む支払い総額」の表示が義務づけられるものです。そのため、レシートや領収書などで総額を表示する義務はありませんので、総額表示のためにレジシステムなどを変更する必要はありません。
 また、商品本体のパッケージや下札などに税抜き価格が表示されており、個々の商品には「消費税相当額を含む支払い総額」が表示されていない場合があります。しかし、棚札やPOPなどによって、その商品の「税込価格」が一目でわかるようになっていれば、総額表示義務との関係においては問題ないとされています。

井上雅弘
銀座誠和法律事務所

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