新型コロナウイルス感染拡大防止と青色申告承認申請
●昨年12月に歯科医院を新規開業しましたので、コロナ禍でしたが、令和元年度の確定申告書を本年4月16日に住所地の税務署に提出しました。しかし、青色申告承認申請書の提出を失念してしまいました。そのようななかで友人から、新型コロナウイルス感染拡大防止の対応に伴い、青色申告承認申請書の提出は4月16日以降でも間に合うという話を耳にしました。
そこで、これから青色申告承認申請書を提出したいと思うのですが、令和2年分から青色申告にできるのでしょうか。また、青色申告をした場合に、所得税の計算上有利となる規定について教えてください。
そこで、これから青色申告承認申請書を提出したいと思うのですが、令和2年分から青色申告にできるのでしょうか。また、青色申告をした場合に、所得税の計算上有利となる規定について教えてください。
── 福岡県・U歯科
1.青色申告の承認申請の取り扱いの特例
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和元年度の所得税および復興特別所得税にかかわる申告・納付などのうち、その期限が令和2年2月27日〜令和2年4月15日(通常は3月15日)までの間に到来する方については、その期限を令和2年4月16日まで延長されることになりました。
また、この期限(4月16日)に申告・納付などが間に合わない方については、令和2年4月17日以後であっても、申告書などの作成や提出が可能となった時点で、税務署に申し出れば個別に期限延長の適用ができるようになりました。
この期限延長の対象となる手続きには、申告や納付手続きのほか、税務署長に対する各種申請、請求、届出、その他書類の提出についても含まれており、「所得税の青色申告承認申請書」についても同様に期限延長の対象となります。ですので、帳簿書類の備付け、保存などが青色申告の所定の定めに従って行われている場合には、その「所得税の青色申告承認申請書」の提出により、令和2年分の所得税から青色申告を行えます。
なお、この個別の期限延長の取り扱いは、申告や申請などができないやむを得ない理由がある場合に認められるものです。ですので、たとえば令和2年4月17日以後に修正申告や更生の請求などの手続きを行った後、別の日に青色申告の申請を行う場合、その申請はできないやむを得ない理由があったこととは認められません。したがって、令和2年分の所得税から青色申告できないことになります。ご注意ください。
2.青色申告の特典
青色申告者には、所得税の計算上、次のような特典が認められています。
1)青色専従者給与の必要経費算入
中小企業が新たに投資した設備などの固定資産税を軽減する現行の特例措置※についての対象資産に事業用家屋と構築物を追加のうえ、令和5年3月末まで2年間延長されます。
所得税法では、生計を一にする家族や親族に給与を支払っても必要経費にはできません。
しかし、青色申告者が生計を一にする家族や親族に給与を支払う場合には、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」に所定の事項を記載して納税地の所轄税務署長に提出すると、その支給額のうち相当と認められる金額については、必要経費に算入できます。
2)青色申告特別控除額
事業所得または不動産所得(以下、事業所得など)が生じる事業を営む方が、正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づき作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付します。確定申告書を提出期限内に提出する場合には、これら事業所得などから、図1の① または②の金額を控除できます。
図1の① または②以外の青色申告者には、10万円の青色申告特別控除が認められます。この10万円の青色申告特別控除は、所得税の確定申告書を期限後に提出しても適用されます。
3)純損失の繰越控除と繰戻還付
純損失の繰越控除と繰戻還付については、以下の2点がポイントです。
① 事業所得などが赤字となり、純損失が生じたときは、その損失額を翌年以降3年間にわたって各年分の所得金額から控除できます(純損失の繰越控除)
② 前年から引き続き青色申告をしている場合には、①の(純損失の繰越控除)に代えて、その損失額を前年分の所得に繰戻して控除し、前年分の所得税の還付を受けられます(純損失の繰戻還付)
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和元年度の所得税および復興特別所得税にかかわる申告・納付などのうち、その期限が令和2年2月27日〜令和2年4月15日(通常は3月15日)までの間に到来する方については、その期限を令和2年4月16日まで延長されることになりました。
また、この期限(4月16日)に申告・納付などが間に合わない方については、令和2年4月17日以後であっても、申告書などの作成や提出が可能となった時点で、税務署に申し出れば個別に期限延長の適用ができるようになりました。
この期限延長の対象となる手続きには、申告や納付手続きのほか、税務署長に対する各種申請、請求、届出、その他書類の提出についても含まれており、「所得税の青色申告承認申請書」についても同様に期限延長の対象となります。ですので、帳簿書類の備付け、保存などが青色申告の所定の定めに従って行われている場合には、その「所得税の青色申告承認申請書」の提出により、令和2年分の所得税から青色申告を行えます。
なお、この個別の期限延長の取り扱いは、申告や申請などができないやむを得ない理由がある場合に認められるものです。ですので、たとえば令和2年4月17日以後に修正申告や更生の請求などの手続きを行った後、別の日に青色申告の申請を行う場合、その申請はできないやむを得ない理由があったこととは認められません。したがって、令和2年分の所得税から青色申告できないことになります。ご注意ください。
2.青色申告の特典
青色申告者には、所得税の計算上、次のような特典が認められています。
1)青色専従者給与の必要経費算入
中小企業が新たに投資した設備などの固定資産税を軽減する現行の特例措置※についての対象資産に事業用家屋と構築物を追加のうえ、令和5年3月末まで2年間延長されます。
所得税法では、生計を一にする家族や親族に給与を支払っても必要経費にはできません。
しかし、青色申告者が生計を一にする家族や親族に給与を支払う場合には、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」に所定の事項を記載して納税地の所轄税務署長に提出すると、その支給額のうち相当と認められる金額については、必要経費に算入できます。
2)青色申告特別控除額
事業所得または不動産所得(以下、事業所得など)が生じる事業を営む方が、正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づき作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付します。確定申告書を提出期限内に提出する場合には、これら事業所得などから、図1の① または②の金額を控除できます。
図1の① または②以外の青色申告者には、10万円の青色申告特別控除が認められます。この10万円の青色申告特別控除は、所得税の確定申告書を期限後に提出しても適用されます。
3)純損失の繰越控除と繰戻還付
純損失の繰越控除と繰戻還付については、以下の2点がポイントです。
① 事業所得などが赤字となり、純損失が生じたときは、その損失額を翌年以降3年間にわたって各年分の所得金額から控除できます(純損失の繰越控除)
② 前年から引き続き青色申告をしている場合には、①の(純損失の繰越控除)に代えて、その損失額を前年分の所得に繰戻して控除し、前年分の所得税の還付を受けられます(純損失の繰戻還付)
図1 青色申告特別控除の金額
今村 正
●税理士法人 千代田タックスパートナーズ