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Q&A
歯科一般 (2020年11月号)
Q 咬合再構成に用いる半調節性咬合器の選択基準
●咬合再構成の際に用いる半調節性咬合器は、どのようなものを選択すればよいのでしょうか。製品の選択基準を教えてください。
──高知県・O歯科医院
A
咬合器は、使用する術者が違えば咬合器の選択や、その使用方法も異なるため、すべての人に1つの咬合器を推奨することは難しいといえます。加えて、咬合再構成においては治療前の咬合診査から始まり、治療では矯正治療や補綴治療など多岐の分野にわたることがしばしばです。
 したがって、まずは診療内容にとらわれない自身のコンセプトを明確にし、咬合器に求める機構を整理したうえで、それを可及的に実現できる咬合器の選択が重要です。
 本稿では、咬合再構成に使用する半調節性咬合器に筆者が求める条件を挙げ、それをふまえた咬合器の選択について回答します。

1.咬合器に求める条件
1)生体に類似した機構
 咬合再構成における診査や補綴装置の製作では、患者固有の顆路角を考慮するために咬合器上での設定が必要となるため、その調節機構が必要です。
 しかし、たとえ顆路角を再現した補綴装置を製作しても、咬合器の大きさが極端に小さいと、生体の顆頭間距離と大きく異なるため、口腔内での機能運動時に過大な誤差となり得ることが懸念されます。したがって、Bonwill三角に基づいた生体と同等の顆頭間距離を有することが重要です。
また、アルコン型ボックス型の咬合器は生体の構造と矛盾しないため、咬合診査での干渉や梃子現象の診査は容易です。
2)確実なセントリックの保持機構
 セントリックを保持するために、咬合器によってネジ式やクラッチ式、ボタン式とさまざまな機構になっています。しかし、術者の締め具合に依存するような機構では、セントリックの再現性に疑問が残ります。したがって、術者の加減によらず確実にセントリックを保持できる機構が理想です。
3)マウンティングプレートの互換性
 模型を付着したマウンティングプレートを咬合器から外し、再度付着すると誤差が生じる恐れがある咬合器の場合は、誤差を発生させないために補綴装置製作用模型を付着した咬合器ごと歯科技工士に輸送する方法があります。しかし、その場合いくつかの咬合器を所有しなければならず、コストや在庫管理の面で課題が残ります。
 さらに、そのような咬合器はマウンティングプレートを咬合器に接続する機構がネジ式である場合が多く、再度付着する際のネジの締め具合に左右されてしまいます。
 したがって、咬合器ごとではなく模型が付着したマウンティングプレートのみを歯科技工士に輸送できる機構が理想で、再付着しても誤差が生じない互換性がある機構が求められます。

2.筆者が選択する咬合器
 これらの条件を満たすという点で、筆者は咬合器「プロターevo7」(KaVo)を選択しています(図1)。この咬合器のセントリッククラッチは強固で確実、そして再現性があります。また、磁石によるマウンティングプレートの互換性も兼ね備え、臨床的に使用しやすいという実感です。
 ただし、どのような咬合器であっても術者の知識をいかに咬合器に活かすかが重要であることには変わりありません。
 今後、よりデジタル化が進みバーティカル咬合器も普及していくなかで、それを扱うアナログな知識や自身のコンセプトをもつことが時代に問わず必要だと考えます。

図1 咬合器「プロターevo7」(KaVo)
図1 咬合器「プロターevo7」(KaVo)

小西浩介
東京都・稲葉歯科医院

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