消費税率の引き上げと軽減税率導入の概要
●本年10月1日から、消費税率の引き上げと軽減税率の導入が行われるとのことですが、この消費税率の引き上げと軽減税率の導入の内容について教えてください。
── 岡山県・T歯科医院
消費税率の10%への引き上げおよび軽減税率8%の導入予定は、当初、平成27年10月1日とされていましたが、二度の延期の後、本年10月1日からの導入が確定しました。
1.消費税の軽減税率制度
1)軽減税率制度の概要
消費税および地方消費税(以下、消費税等)の税率は、令和元年10月1日に現行の8%(内地方消費税1.7%)から10%(内地方消費税2.2%)に引き上げられますが、これと同時に、10%への税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に消費税率8%の軽減税率制度が導入されました。
2)軽減税率の対象品目
軽減税率は、次の①および②の品目の譲渡を対象とします。
①飲食料品
軽減税率の対象となる飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(ビール、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなどの酒類を除く)が該当しますが、外食(レストラン、食堂、居酒屋など)やケータリングなどは対象に含まれません。なお、一定の要件を満たす一体資産(食品と食品以外の資産が一の資産を構成しているもの。たとえば「おまけつきのお菓子」など)は、軽減税率の対象とされます。
②新聞
軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号(○○新聞・日刊△△などの題号をもつもの)を用い、政治、経済、社会、文化などに関する一般社会事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期購読契約に基づくもの。したがって、駅の売店で買う新聞などは除く)をいいます。
2.令和元年10月1日からの消費税および地方消費税等の税率
軽減税率制度の実施に伴い、令和元年10月1日からの消費税等の税率は、表1のとおり軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となります。
3.区分記載請求書等保存方式
軽減税率の実施に伴い、消費税等の税率が軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複数になることから、事業者は、消費税の申告納付を行うために、取引を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理を行う必要があります。
また、消費税の仕入税額控除は、帳簿および請求書等の保存が要件とされていますが、令和元年10月1日以降は、その請求書等につき「区分記載請求書等」の保存が要件となります。
◎「区分記載請求書等」の記載事項
1)発行者の氏名または名称
2)取引年月日
3)取引の内容
4)受領者の氏名または名称
5)軽減税率の対象品目である旨
6)税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)
以上が消費税率引き上げと軽減税率導入の概要ですが、歯科医院の場合は、軽減税率の対象となる課税売上高はないと考えられますので、従前の課税売上(自由診療収入および歯ブラシなどの雑収入)の領収書等に消費税率を8%から10%に変更するのみの記載で足ります。
しかし、課税仕入にかかわるものには、軽減税率の対象となるものがありますので、その場合には、「区分記載請求書等」の取得が必要となります。なお、消費税等の課税売上高が1,000万円未満の免税事業者または消費税等について簡易課税制度を選択している場合には、この「区分記載請求書等」を取得していなくても問題ありません。
1.消費税の軽減税率制度
1)軽減税率制度の概要
消費税および地方消費税(以下、消費税等)の税率は、令和元年10月1日に現行の8%(内地方消費税1.7%)から10%(内地方消費税2.2%)に引き上げられますが、これと同時に、10%への税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に消費税率8%の軽減税率制度が導入されました。
2)軽減税率の対象品目
軽減税率は、次の①および②の品目の譲渡を対象とします。
①飲食料品
軽減税率の対象となる飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(ビール、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなどの酒類を除く)が該当しますが、外食(レストラン、食堂、居酒屋など)やケータリングなどは対象に含まれません。なお、一定の要件を満たす一体資産(食品と食品以外の資産が一の資産を構成しているもの。たとえば「おまけつきのお菓子」など)は、軽減税率の対象とされます。
②新聞
軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号(○○新聞・日刊△△などの題号をもつもの)を用い、政治、経済、社会、文化などに関する一般社会事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期購読契約に基づくもの。したがって、駅の売店で買う新聞などは除く)をいいます。
2.令和元年10月1日からの消費税および地方消費税等の税率
軽減税率制度の実施に伴い、令和元年10月1日からの消費税等の税率は、表1のとおり軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となります。
3.区分記載請求書等保存方式
軽減税率の実施に伴い、消費税等の税率が軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複数になることから、事業者は、消費税の申告納付を行うために、取引を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理を行う必要があります。
また、消費税の仕入税額控除は、帳簿および請求書等の保存が要件とされていますが、令和元年10月1日以降は、その請求書等につき「区分記載請求書等」の保存が要件となります。
◎「区分記載請求書等」の記載事項
1)発行者の氏名または名称
2)取引年月日
3)取引の内容
4)受領者の氏名または名称
5)軽減税率の対象品目である旨
6)税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)
以上が消費税率引き上げと軽減税率導入の概要ですが、歯科医院の場合は、軽減税率の対象となる課税売上高はないと考えられますので、従前の課税売上(自由診療収入および歯ブラシなどの雑収入)の領収書等に消費税率を8%から10%に変更するのみの記載で足ります。
しかし、課税仕入にかかわるものには、軽減税率の対象となるものがありますので、その場合には、「区分記載請求書等」の取得が必要となります。なお、消費税等の課税売上高が1,000万円未満の免税事業者または消費税等について簡易課税制度を選択している場合には、この「区分記載請求書等」を取得していなくても問題ありません。
表1 令和元年10月1日からの消費税および地方消費税等の税率
今村 正
●千代田パートナーズ税理士法人