医療法人化のメリット・デメリット
●当院は医療法人化を目指しているのですが、改めて医療法人のメリット・デメリットについて詳しく教えてください。
●福岡県:M歯科医院
医療法人の設立とは、これまで院長個人が行っていた歯科医院の所有と経営を、法律上において権利能力を有する医療法人で行うことになります。
つまり、院長も医療法人の一員となり、他の理事や役職員とともに医療の安定的で永続的な普及を担いながら医療法人の運営を行います。そのため院長は、医療法人設立後は理事長として医療法人を代表し、役員報酬として給与を得ることになります。事業所得者から給与所得者になり、給与所得控除という給与等の収入金額に応じた、計算上の所得控除を受けられることが大きなポイントです。
また、個人事業の場合には経費として認められない退職金も、役員報酬の額に応じて理事長や家族に支給できるようになります。
表1 医療法人設立によるメリット
表2 医療法人設立によるデメリット
個人の所得税率と比較すると、法人税のほうが最高税率は低くなり、退職金についてもさらに税率が優遇されるため、さまざまな節税効果を狙える点が医療法人化する大きなメリットです。
医療法人設立による、メリットを挙げると表1のようになります。
一方、デメリットは表2のようなものが挙げられます。
いったん医療法人化すると、医療の永続性という観点から、解散することが容易でなくなります。また、医療法人解散時の残余財産の帰属先の問題もあるため、医療法人化を行う目的を明確にしたうえで設立することが大切です。
節税のみを目的とすると、院長の代だけで行う短期的な視点での判断となりがちですから、将来にわたる事業承継者の有無や見通しなども十分に考慮して、長期的な視点で医療法人の設立を検討してください。
つまり、院長も医療法人の一員となり、他の理事や役職員とともに医療の安定的で永続的な普及を担いながら医療法人の運営を行います。そのため院長は、医療法人設立後は理事長として医療法人を代表し、役員報酬として給与を得ることになります。事業所得者から給与所得者になり、給与所得控除という給与等の収入金額に応じた、計算上の所得控除を受けられることが大きなポイントです。
また、個人事業の場合には経費として認められない退職金も、役員報酬の額に応じて理事長や家族に支給できるようになります。
表1 医療法人設立によるメリット
役員報酬により、給与所得控除を受けられる |
家族を役員にして役員報酬を得られる |
理事長、家族ともに退職金を得られる |
生命保険料が経費として認められる *契約者および保険金受取人が医療法人の場合 |
累進課税である所得税から、一定の税率が適用される法人税になるため最高税率が下がる |
出資持分がないため事業承継が容易 |
分院展開が可能になるなど、事業拡大が容易になる |
院長個人と医療法人の資金が分かれるため、資金管理が明確になる |
表2 医療法人設立によるデメリット
社会保険料の負担が増大する *スタッフだけでなく、報酬額の多い理事長の社会保険料負担も生じることになる |
医療法人が解散する場合の残余財産は、国や地方公共団体へ帰属する |
利益の配当や分配(賞与)が禁止されている |
投資を目的とした株式や不動産などの売買ができない |
医療法人の役員として、原則理事3名以上、監事1名以上を必要とする *人数要件があることをデメリットと考える |
都道府県への毎年の決算届が必要となる |
設立手続きから毎年の社員総会議事録等、書類作成および保管等の事務手続きが煩雑になる |
個人の所得税率と比較すると、法人税のほうが最高税率は低くなり、退職金についてもさらに税率が優遇されるため、さまざまな節税効果を狙える点が医療法人化する大きなメリットです。
医療法人設立による、メリットを挙げると表1のようになります。
一方、デメリットは表2のようなものが挙げられます。
いったん医療法人化すると、医療の永続性という観点から、解散することが容易でなくなります。また、医療法人解散時の残余財産の帰属先の問題もあるため、医療法人化を行う目的を明確にしたうえで設立することが大切です。
節税のみを目的とすると、院長の代だけで行う短期的な視点での判断となりがちですから、将来にわたる事業承継者の有無や見通しなども十分に考慮して、長期的な視点で医療法人の設立を検討してください。
門田 亮
●デンタル・マネジメント・コンサルティング