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Q&A
経営 (2016年7月号)
Q 採算を考えるポイント
●2年前に開業し、現在では徐々に患者さんも増えてきました。しかし、最初の設備投資が大きかったためか、経営的にまだまだ厳しい状況が続いています。採算を考えるにあたり、ポイントがあれば教えてください。
──愛知県・Y歯科医院
A
  歯科医院の開業は、多額の設備投資を必要とすると同時に、患者さんを獲得して経営を安定させるまでに大きな力を要します。採算に関しては、まず、診療収入に対する原価や経費のバランスが適正であるかを考えます。材料や薬品代はおおむね、患者数や収入の増加に比例して増えるため、医院における診療の特徴によって比率は変わります。歯科衛生士によるメインテナンスが中心の場合、使用する材料や薬品類が比較的少なくすむため、収入に対する比率が下がる傾向にあります。しかし、歯科医院全体の収入に対する材料薬品費は、6〜8%程度が平均的な比率といえるでしょう。
  一方、人件費や地代家賃といった経費は、収入の増減に左右されない性質のため、収入が十分に確保できない状態のときは、非常に資金繰りが厳しくなります。スタッフが育ってくれば生産性も向上し、収入の確保にも大きく寄与することが期待できるので、教育を十分に行い、人材の育成に主眼をおくとよいでしょう。
  経費のなかで注意すべき点として、水道・光熱費や通信費、あるいは事務用品費といった、できるだけ抑えたい経費が膨らんでいないかどうかです。日頃の扱い方がのちの発注の仕方などに影響を及ぼすので、しっかりと抑制できる体制を開業当初から作っておくことが必要です。最初は自由に使えていたにもかかわらず、途中から突然抑制がかかると、スタッフの反発を招くことにもなります。細かいようでも、抑制すべき点は最初の段階でしっかりと管理することが大切です。
  そのほかに、あまり表に出ない費用として、生計費が挙げられます。事業用の資金として経費になるわけではなく、ただ銀行口座から資金が出ていくのみのため、気がつけば口座残高が思ったよりも少なくなっていたということがあります。したがって、経費にならない生計費や銀行への返済元金、納税用資金については、毎月一定額を引き出す、あるいは別の口座に振り替えて資金を確保する必要があります。
  開業当初は、患者さんの確保や収入の維持が盤石でないまま、給与賃金や家賃、リース料のほか、院内の消耗品や材料の支払いなど、多くの支出によって資金繰りが厳しい状況が続くため、計画的な資金管理が大切です。
  一方で、開業時に設備投資をしたチェアーやX線装置、内装関連費用が、減価償却費という費用計上によって経費化され、資金繰りが助けられる部分があります。開業当初は一度に多くの設備投資をするため、経費となる減価償却費も大きくなります。会計上で400〜500万円の減価償却費が計上されていたとすると、実際には、その金額分が資金として残ることになります。借入返済元金とのバランスをしっかりとって資金繰りをコントロールしたいところです。
  注意すべきことは、開業時にまとめて購入した設備のなかに、使用頻度の低い設備がないかどうかです。機器が陳腐化する前に、収入に結びつける活用法を検討してください。
  開業当初は厳しい状況であっても、適切に医院をアピールし、スタッフ教育を十分に施すことで、徐々に患者さんの信頼を得て経営の安定化が図られます。また、経営の安定に向かって、年々高い伸び率を確保できる時期でもあります。長期的な視野に立ち、スタッフとともに積極的に働きかけ、患者さんの獲得に全力を注いでください。

門田 亮デンタル・マネジメント・コンサルティング

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